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2004.06.08

少年犯罪は防げるのか?

※ 派遣中は投票できず…参院選で自衛隊員700人

 またか……。さっさと恒久法を作れば良いのに、政府はそんなに投票率が上がるのが嫌なんだろうか。

※ 新市名称は「大隅市」から「鹿屋市」に変更

 ほっと一息。

※ <辻元清美氏>参院選に大阪選挙区から出馬へ

 きっと関西人のことだから、また飛びつくんだろうなぁ。ほんとに嫌になる。職責において罪を犯した政治家の倫理より、そんな人間を再び担ごうという周囲の嫌らしさが嫌になる。

※ 長男虐待死で母親に懲役11年 山形地裁

 食事を少しずつ減らして最後は白米だけ。排泄も禁じて、よくも人間がこんなことを思いつき、しかも実の子に対して行えるものだなと思いますが、それで求刑13年、判決11年、実質8年から9年で娑婆に出てくるわけでしょう。これで良いんだろうか。

※ 児童に指の押捺求める 佐世保署、父母から苦情

 いかにも、田舎での出来事というか、今時、こんなことってあり得るのか? 県教委は、こんな非常識なことやっている警察に誰も文句を言わなかったんだろうか。
 6年生を殺人事件現場となった学校内に、夕方まで5時間前後閉じ込めて、一人ずつ事情聴取するなんてことをまともな大人が何の疑問も持たずに、実行する。その警察の暴走を止めるシステムが一切存在しない。
 本来ならこういう時に、公安委員会が前面に出て来て、ちったぁ考えろよと警告すべきなのに、機能していないせいで、誰も文句を言えずに、後日マスコミで、それも地元のメディアは怖いから、東京のメディアがちらと叩くだけなんだな。同様の事件が他の地方で発生したら、また同じことが繰り返されるでしょう。

※ 小6同級生殺害 被害女児に父が「手紙」

私はこの手の、ある種のヒロイズムってあまり好きになれない。起こったことは気の毒で、遺族がそれを公表することで、癒しを得られるのであれば、たまたま点けたテレビで、それを声優が朗読するシーンも許容するけれども(でも私はすぐチャンネルを変える)、他に癒しを得る手段は無いんだろうか?
 その悲劇に同情はするけれども、少なくとも日々を過ごす国民にとっては、それ所じゃないし、たぶんその悲しみを共有するなんて無理だし、正直、これを公表した弁護士は何を考えているんだろうと思う。
 たぶん、どこかで加害者や加害者の親の目に止まるだろうという思いもあるんだろうけれど、果たして公開すべき類のものかなと思う。

 それで、日垣グリーン車大好き先生のメルマガでの分析です。いずれも実は、この事件で初めて論考披露されたことではなく、犯罪に関して彼が常日頃述べてきたことなので、日垣ヲッチャーにとってさして新味はありませんが、さすがにこれが本職だけあって良いこと言ってますね。3割ほどそれは違うという部分はあれど、それはいつものことだから許容範囲内。
 たとえば、「動機は重要ではない」という部分は、今、メディアで取り沙汰されている、たとえばネット上のトラブルなんて日常的だろう、おおよそそれは殺人には直結しないし、「直接会って話したい」というフレーズだけを持って、彼女がどこかずれているみたいに言われているけれども、それは彼女が長い時間喋っただろう台詞の中のほんの一部分であることを思えば特異でも何でもないと書く。

 たとえば、この手の事件が発生すると、必ず教育関係者は「心の教育」とか「命の大切さを教える」とか言うけれども、そんなのはナンセンスなわけです(しかしマスコミ向けの決まり文句であって、その発言者自身、さして意味を込めて喋っているとは思えない)。日垣氏のメルマガでの台詞を借りるなら、

「 人を殺してしまった加害者は、大切な自分を守るためには相手を殺してしまうしかない、と考えてしまったのです。」

 と、まさにこれこそが動機なのですから。そして日垣氏は、もしこの手の事件を抑止するならと続ける。

「 誰かを殺してやりたい、と思ったとき、それを阻止するのは残念ながら「命の大切さ」(性善説)ではなく、露見後の法的処遇と報道による極端な生活変化へのリアルな認識(性悪説)です。」

 私も、原則的に、この考え方に賛成です。結局、人間は、自立的である前に他罰的な衝動を持つ。とりわけ子供はそうです。後先の因果関係を考えない。因果律の構築が困難になっているというのは、宮台真司の口癖ですが、そもそも子供はそんな能力など持ち合わせないわけです。
 さてしかし、これはある種の矛盾です。子供は因果関係に思いを巡らせることが出来ない、ならば、人を殺したらどうなるか? を説教しても無駄では無いか? という論考も成り立つ。ここが実は、私が日垣説に関して唯一疑問を呈する所です。
 昔の子供は、お巡りさんを見ただけで震え上がったものです。そう教育されたから。露見後の生活がどうなるか? のリアル感を子供に教えるのは大事でしょう。なぜなら、それでたいがいの殺人衝動を思い留まらせることが出来る。最後の一割は阻止出来ないけれど、それをやったらどうなるだろうか? との恐れを持つ9割は、それで思い留まらせることが出来るだろうか。
 では、最後の1割、いや1パーセント以下の実行者をどうやって芽を摘むか? この事件の加害者には、十分な計画性が窺われる。私の結論としては、それは「不可能」である。そしてこれだけの数の人間がいれば、遺憾ながらそれを完全に阻止しようとする試み自体がナンセンスだと言うしかない。
 事件は起こる。そして発生件数は確実に減っている。その事実を直視する冷静さが必要なのだと思う。
 少年犯罪は防げるのか? 私たちは十分、その抑え込みに成功していると言って良い。

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