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2004.10.22

田中康夫、オレオレ県政

※ TBSラジオ・アクセス18日 橋本大二郎ゲスト

 冒頭かられいのバスツアーの成功を宣伝するんだが、長峰アナが気のない調子で「よかったよかった」と相づちを打つのが印象的でしたね。

 以下は、これも番組冒頭、橋本前知事が、自分の失職再出馬に関する説明をしている時に、康夫ちゃんが割り込んでとうとうと喋った部分。

【 あたしがですから4年前、知事選に出る時ですね、橋本さんはぜひ自分が前人未踏の道を歩いてきたんで対談しようということになって、今貴方を支えていてくれる人々は純粋な方かも知れない。でもねその人たちもこういうことやって欲しいということが具体的にあると、一番最初に当選して、貴方を批判し始めるのはもしかしたら、貴方を一生懸命やってくれた人が、なんで私の言ったことを、これにお金使ってくんないの? て言いました。

 でも知事になったら有権者みんなのために何が必要か、孤独な判断をしなければならない。往々にして最初に支援して、無党派ですよ、知的階層ですよ、と言っていた人たちは、往々にしてなのにあたしが言ったことをすぐにやらないといって反発するかもしれないけれど、そこで怯んじゃいけませんよと。

 今までの官選知事だと、知事にまで会いにも行けないわけですよ。橋本さんとか私だと、直接言うことも出来るわけだ。住民にも最も接している。とすると、知事に言えばなんか出来ちゃう。またそうすると県会議員たちは、今までは俺たちを通して筋道を立てていたのに、コンピュータと同じでbtocじゃないかと。われわれはどうしてくれるんだぁ、ということだと思うんですよ。】

 この言い方は、茅野仁科がパフォーマンスを謹めと文句を言いに行った時に、「吉村政権時代に戻せというわけでは無い」と明後日な方向に問題をすり替えた時と全く同じで、ペテン師の面目躍如ですね。
 田中康夫を担いだ人々の本音は、何かを具体的にやって欲しかったわけじゃない。逆、あれもこれも止めて欲しいというのが本音だった。ダムを造って欲しい訳でも、道路を造って欲しいわけでもない。明らかに、ダムは止めろ、公共事業は要らんという立場の立場の人々だった。しかも、孤独な判断も何も、仕事なんかしやねぇわけだ。支持者が離れていったのは、知事として基本的な仕事すら放棄して県外で遊びほうけていることに嫌気が差してのことに他ならない。「有権者のための必要な判断を下す」暇無くバイトに明け暮れているからだけだろう。

 「今までの官選知事だと、知事にまで会いにも行けないわけですよ。橋本さんとか私だと、直接言うことも出来るわけだ。」
 これも真っ赤な嘘です。そもそも、田中自身が敵だと判断した人間は、会っても貰えない。その状況は、余所の官選知事より遙かに酷い。松本のダム湖時効殺人事件でなぜ田中康夫は、「知事と会いたい」という被害者遺族との面談を拒否したか? 担当弁護士が、今や田中批判の急先鋒となった永田弁護士だったからです。たったそれだけのことで、自分の好き嫌いや、自分の敵か味方で、自分が会う人間を峻別する。そんな男にこんなことを言う資格はありませんわな。

* で、番組は、のっけから、橋本前知事が、義務教育費問題に関しても、田中康夫をけちょんけちょん。互いの地方自治に関するベースの知識量が全く違うことが露呈する。田中康夫の知識を新聞記事レベルとするなら、橋本前知事のそれは、現場の役人レベル。担当の役人が知っているべきレベルの知識や法令がきちっと頭に入っていてすらすら出てくるんだが、田中康夫の頭には、新聞のヘッドラインしか入っていない。ヘッドラインを読み上げた後は、その記事のリードしか話せない。だからまるで議論にならない。

* 「TBS何をやっている。日歯連と金の問題に関して訊かないのはけしからん」

 長野で流れていない23時半からの部分で、こういう匿名リスナーからのFAXが読み上げられたら、橋本さん機嫌を損ねたらしく、「名前は何と仰るんですか?」「批判する人はだいたい名乗らない」「今日はそのテーマでは無いので敢えて触れない」と文句。

 がっかりしましたね。この人には政治家の資質なんかありゃしない。目の前にFAXがあってさ、ラジオだからリスナーには見えないけれど、ご本人には、そのFAXに名前が無いというのは解るわけだ。しかも、この日の番組のカウントダウンでは、「日歯連の献金問題」がトップ項目だった。なのに二人とも見事にスルーした。
 自分とは別人格の兄弟のことで追求されるのは気の毒だとは思うけれど、国民的には、この橋本両兄弟の疑惑はセットなわけですよ。それを、質してきた奴は匿名だから卑怯だなんて誤魔化す資格は、政治家には無い。政治というのは、匿名の訴えに耳を傾ける行為ですよ。
 彼は、番組中で、自分は望んで県知事になった訳じゃない。高知県民に請われて県知事になった。だから、県民からきちんと自分が要るか不要かを判断して貰いたいみたいなことを言っていたけれど、12年間も知事をやって、県議会の雰囲気ひとつ変えられなかった人が、何で連綿と地位にしがみつくのか全然解らない。
 今度の台風でも、あれだけの被害を出しているのに、ヘッドは不在なわけでしょう。今、彼が失職している状況は彼個人の責任では無いかも知れないけれど、政治というのは結果責任ですから、こういう時に、知事不在という状況を招いた責任を自覚して欲しいですね。

* 台風被害に関して、「消防庁防災度マップでは高地は42位。どういう調査をしているんだろうなぁ」と橋本氏が嘆く一方で、康夫ちゃんは、「朝の8時から夜9時まで防災指令室に入って10の地方事務所と繋いで、ペーパー読んで報告を上げる所長に逐一指示を出した」と自慢する。
 その日の詳細は、日刊ゲンダイのコラムでも全く同じ発言を読めるんだが、バカだよ! こいつ。底抜けのバカ男。経戦局には、パブリシティの専門家の任期付き職員が一杯いるのに(というかその手の任期付き、というか人気取り人材しかいない)、こいつらは何をやっているんだ?
 県知事が新聞にコラムを持って、災害時の対応に関して書くとなったら、書いて貰うべきことが他に山程あるでしょう? 県下には、県庁の職員が何名いて、彼らがどこそこで寝ずの番に当たり、県立病院の看護師さんは、自分の家族のことも心配だったけれど、それでも雨漏りが酷い病院で夜勤に踏み止まりました、ということを書いて欲しいと思わないですか?
 それをこのオレオレ知事は、エアコンが効いた部屋に留まり、朝から晩までテレビ電話でもってオレがオレが的確な指令を飛ばしましたと、ご自分の八面六臂の活躍話を自慢することしか頭に無い。災害時の職員の労苦を県民や国民に知って貰う絶好の機会なのに。
 自衛隊で、いざ災害派遣に出動した部隊の指揮官が、腰まで泥に浸かって、汚泥と格闘する部下を蔑ろにして、指揮通信車の中で、自分が何をどう的確に判断して命令したかなんてことを部内誌に書いたり、マスコミに広報したら、次の異動で左遷ですよ。部下を思いやる温性はこれっぽちもなく、広報はいかにあるべきかの戦略すら無い。ただひたすら自分のテレビ映りのことしか気にしない。

※ 南野法相

 二日前の報ステで、珍しく古館が良いこと言ってましたが、民主党は「南野法相」問題に拘って本質を見失っているんじゃないか? と。閣僚なんて、半数以上は適材適所からかけ離れた順繰り人事なんだから、その人間の首を獲ることに拘って、何の利益があるんでしょうね。
 小泉氏にして見れば、本来自分に向けられるべき批判が法相に向かい、メディアの興味もそっちへ向けば万々歳でしょう。何を下らんことをやっているんでしょう。

※ 台風一過
【果たして本当に「天災」だけなのか。次々と明るみに出つつある利権外道どもの国民の膏血の貪りを知るにつれてそれだけではないように思う。道路は堤防は設計通りに作られていたのか。コンクリートの骨材はきちんと数値をクリアしているのか。それぞれの当事者はこうした点を厳密に検証すべきである。「自然の猛威にはかなわない」とただ呆然としているさまはキチガイ政府を止められない様子によく似ている。何が問題なのかまずそれを明らかにしつかれている嘘を暴きしかるのちに吊るすべき相手を吊るせ。】勝ちゃん昨日の日記より

 ま、自然災害とは無縁の神戸育ちのボンボンのセンスはこんなものでしょう。わたしら田舎もんは、自然なんてものは人智の及ぶ所では無いと身をもって知っているけれど。
 人類社会は、「自然の猛威には叶わない」という畏怖を持ってインフラを整備して来た訳でしてね、基本的には、こういう問題は、手抜きでは無く、コストの問題です。
 室戸のあれは、18メートル近い高波が押し寄せたそうで、スーパー津波ですよね。あそこまで波が来ることを全く想定していない。堤防の破断面は、いかにも施工ミスを窺わせるスパッと切れた感じだけれど、あそこには鉄筋は入っていない。そういうものだったということだから、それは仕方ないでしょう。津波に耐えられるような堤防を作るとなったら、それこそ勝っちゃんが狂喜乱舞して罵るような過大な土木工事をするしかない。
 しかしこの人も忙しい人ですよね。災害が無ければ、土建野郎土建野郎! と連呼し、それで被害が出たら土建屋がまともな仕事をしなかったせいだ! 吊せ! とは。いや、俺は、あんたみたいな自分の言論に露程の責任も持たない輩に業界から消えて欲しいと切に思うよ。

* 海王丸遭難。

 一時、行方不明者がいるというニュースも流れたけれど、全員無事で良かったですね。あそこで全員助かったのは、やはり彼らがプロ集団だったからですよ。ついでに言うと、バスの水没事故。あれで全員助かったのも、公務員集団だったから。それで統制が取れる行動が出来た。あれバラバラの民間人募集ツアー団体だったら、間違いなく死者を出しています。
 ただ、海王丸はたまたまああいう形で座礁し、船が直立したままだったから助かったけれど、あれは走錨する過程で横倒しにされ、転覆していた可能性が高い。そしたら乗組員の半数は死んでいた。しかも、昨日、余所で同様の海難事故が発生していないことを思うと、やっぱり天災とは言えども、船長に判断ミスがあったということですよ。

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コメント

 海王丸は北へ北へと逃げる時間はあったのだから、それは判断ミス。日曜日に新旧海王丸のセイルドリルが予定されてはいたけど、それは別の話。
 でも伏木の岸壁でロシアの貨客船が高波を受けてひどい目に遭ってます。海王丸だけではないし。http://mytown.asahi.com/toyama/news01.asp?kiji=4968

 この前の台風では横須賀でヴィンセンスの舫綱を斬り、230m離れたコロラドにコツンしたけど

投稿: sionoiri | 2004.10.22 13:19

http://www2.knb.ne.jp/news/20041021_1123.htm

Russian ship at Fushiki-ManYou Port.

投稿: sionoiri | 2004.10.22 14:48

www.yomiuri.co.jp/national/news/20041023it03.htm

伏木の海保は午前中から逃げろといっていて、午後八時にももう一回警告し「検討します」との返事。
正午から逃げれば海王丸は80海里は離れたのでだいぶ違う。

投稿: | 2004.10.23 20:02

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