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2004.10.28

奇跡と悲劇と

 水曜、11時から子守り。まず15分掛かりで薬を飲ませてから昼飯。早朝、咳でゲロしたので、咳止め薬を飲ませたら、昼頃には落ち着く。食欲はそこそこ。おんぶして台所を片づけていたら寝たのでベッドに降ろすが、すぐ目を覚ます。が、もう瞼は開かないので、そのまま寝かせる。14時、電話のベルで起きる。一回のベルで取ったが、見事に起きる。15分の会話中、やむなく放置する。夜泣き状態なので、そのまま羽交い締めにして寝る。
 15時前、女房長男が帰ってきたので、起きてテレビを点けたらびっくり。家族3名無事の報せ。しかも出ているのは、長野市消防局に、松本の広域消防隊だもん。東京都のハイパーレスキューなんて、あの格好じゃ全然解らない。

 酷い脱力感に見舞われる。人間の想像力の貧困さに悄然とする。火曜の時点で、どうして誰もあの母子が生きているということに拘らなかったのだろう。朝から晩まで、あの対岸からマスコミがテレビ中継していたのに、どうして誰もあそこに車が埋まっていると考えなかったんだろう。人間が無理なら、せめて捜索犬を入れようと誰も思わなかったんだろうか? 人間が排出する二酸化炭素を探知するセンサーや音響センサーは、すでにベトナム戦争当時に開発されているのに、どうしてわれわれはそれを人命救助に転用して配備しようとしなかったんだろう。空から蒔けるのに。
 というか、この母親は、携帯を持っていたそうなのに、待機電波が何処で途切れたかを調べようと誰も考えなかったのだろうか? そういう制度が完備されていれば、家族親族からの申し出による情報サーチという形で、日曜の朝には、あの崩落現場に巻き込まれただろうことはすぐ解ったはずなんだが。

 絶対に死んでいると思っていた。たとえ昨夕の押し潰された残骸発見の報せが無くても、生きているなんてこれっぽっちも思わなかった。みんなそうなんだよね。たぶん探す側も生きているなんて思っていないから、全てが後手後手に回ってしまった。
 テレビを見ている最中に、余震が来て、何しろ各社望遠で撮っているせいで、激しく画面が揺れる。そんな中、男の子が救出される。
 やっぱりNHKが断然に綺麗なんだよね。望遠も一番寄っているし、民放は、あれはデジタル・ズームなのか、ジャギーやデジタルノイズが出ていて汚い。
 16時、月末の雑誌入手で書店へ。アームズマガジンに、82空挺の少尉となった日本人青年の物語が。あまりに面白くてその場で読んでしまう。世界の艦船に、先端科技に掲載されたらしい中国のイージス艦のカラー写真が。げ! この人たち本当に造っちまったよ。造りは「こんごう」のコピーに近いが、あのトン数にあの性能を埋め込むのはどうなんだろう。
 帰宅したら、母親の脈が無いまま救出というニュースを知る。さっきまで陸自の医官が脈を取っていると言っていたのに。3人無事の誤報に期待させられた分、落ち込む。

* 単身赴任の父親が、家族と連絡が取れないことに気付いて、でも避難所にいないらしいことが確定するのがやっと日曜の夕方頃だっただろうと思う。月曜日辺りから探し出すけれど、やっと夕方に残骸の一部が露出する。これはたぶん雨のせい等もあったでしょう。
 新潟に限らず、単身赴任や出稼ぎは多い、いやもしこれが単身赴任でも何でもない、身寄りの無い人々だったら、遭難していることすら誰も気付かなかったかも知れない。町内会毎や地区毎の員数確認とか無かったのだろうか。

 本来なら、日曜の時点で、全ての道路崩落箇所を徹底調査すべきだったし、火曜夜の時点で、シリウスやボーカメを持ち込むべきだった。これをやらなかったことの責任が、後で問われることになるでしょう。雨で二次災害の危険があったからでは済まないと思いますよ。
男の子はたぶん火曜夜の時点でも元気だったわけでしょう。なのに、残骸が発見された時点で呼び掛けはしなかったのか? しないはずはない。じゃあ何が起こったのか? と言えば、たぶん聞こえなかったのでしょう。上空を舞うヘリか、あるいは隊員を降ろしたヘリの爆音で。その声は子供に届かなかったし、子供の声も隊員には届かなかったのでしょう。
 やはり、彼ら専門家にしても、生きているという想像力は働かなかったんですよね。この奇跡と悲劇が突きつけたものはあまりにも重い。

※ ユニクロ支援、中抜きする長野県

 気が滅入っているので本件は明日。康夫ちゃんも残念だったね。昨夕はきっと全国ニュースで繰り返し、その勇姿が流されるだろうと期待していただろうに。県内ニュースでも扱いが小さかったせいか、県庁のサイトでは、もう昨日の内に宣伝頁が立ち上がっていた。他に広報すべきことは無いんでしょうか? 長野県庁さん。災害情報はちっとも所か、全く伝えないくせに。
 ユニクロ社長をヨイショしまくり、最後には、ノーブレスうんたらとか(←あんたに一番無縁な言葉だよ)を説く、日経「賢者の選択」ビデオをゲットする。

※ 部分撤去認めず、住民側が逆転敗訴 国立マンション訴訟

 一審は、結構トンデモな判決でしたから、真っ当な判決でしょうね。結局、一審のトンデモ判決が引き金となって、日本全国で同様の裁判が多数起こされているんですよね。条例が先にあるのならともかく、そりゃ無理でしょう。

※ イラク人質

 もう忘れましょう、この人のことは。交渉と言っても、相手は前回のような地元民では無くテロリスト。前回の場合は、仮に金が動いたとしても地元に落ちると割り切れたが、今回もし金を払ったら、丸々テロリストの活動資金になるだけ。
 誘拐された青年に何か考えがあったとは思えないけれど、別に批判する気はない。ただ、明らかに国益を損ねているし、前例を作ることにもなりかねないので、もうこのニュースは聞かなかったことにして忘れましょう。
 ファイルがアップロードされたのは日本のサーバーで、そこは日本語が解らなければ作業できないはずだという指摘もあるんだが、どうなんだろう。

※ 軍板の憤怒に応える。

 軍板で更に下記のリクエストがあったので、探してみました。れいの臨界事故の頃の日記ですね。
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589 名前:名無し三等兵 投稿日:04/10/27 20:30:47 ID:???
>561
1999年10月7日の日記を再公開して欲しいね。
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 で、下記がその7日の日記
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臨界事故。良く解らないですね。
原発の作業現場というのは、実は建設業界における下請け孫請けより酷いことは良く知られたことでして、被曝線量バッジの付け替えなんてのは日常茶飯だし、何の専門知識も持たない人々が、訓練を受けたことになって、原子炉建て屋に入ったりしています。ただ、ここは旧財閥系の100パーセント出資子会社で、誰か最初にマニュアル書いた人間は、臨界の知識ぐらいあったはずなんですね。どうしてこんなことになったんだろう。
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 お宅が書いたのはこれね↓
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「日本の原発はホームレスを使い捨て作業員とすることで成り立っている代物だ」と日記で言い放った (まだ削除してないなら、3年か4年くらい遡れば見つかるはず)人物がバカかどうかは自明だろ。
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ちょっと違うんじゃないの? 少なくとも、「建設業界における下請け孫請け」という表現は直接的に「ホームレス」を意味しないでしょう。「使い捨て」という表現も無い。前後の日記も調べてみましたが、そういう記述はありません。何処でお宅様の恨みを買ったか知らないけれど、貴方の記憶の中で、というか日付指定で日記を出せということは、どこかにコピーでも取っていたはずなんだろうが、何故に私の表現が増幅されてそれを書いたことになったのか教えて欲しいですね。ま業界関係者かも知れないけれど、だったら事実がどうかは知らんはずもなし。
 いずれにしても、あのスレッドは全くの板違いだから、この件でこれ以上、私に何かの文句やご要望がおありなら、あそこではなくマス板にコテハンでいらして下さい。そちらでお話ししましょう。あるいは私のブログにコメントをして下さい。↓
【マスコミ日記】日経・泥酔信毎康夫・大石【の批判】
http://ex5.2ch.net/test/read.cgi/mass/1096531173/

 こういう経験って、NIFTY時代に山ほどしましたね。バトルの最中に、自分が書いてもいないことを書いただろうと指摘されたり(しかも引用マーク付きだったりする(~_~;))、逆に私自身がそう思い込んでしまったり。ほぼリアルタイムのやりとりですらそういう錯誤やフレームアップは、頻繁に起こるんですよね。
 しかし、あんたが俺の日記でどんなに腹立てて、どう都合良く解釈したとしてもだ、それを何の関係も無い軍板で持ち出してバカ呼ばわりするのは、単純にルール違反だろうと思うんだが、名無しさん。てかなあ、こういう連中って、人を忙しくさせるだけで、名無しで良かったわいとか胸撫で下ろして知らん顔して逃げんだよね。でまた余所で何事も無かったかのように嫌がらせを続けるわけだ。この手の人間で今だかつて一度として、詫びのメールを遣した奴はいない。だから俺は名無しに安住するちゃねら~は嫌いなんだよ。仁義もへったくれもありゃしない。それでデマを播き散らかすんだから。2ちゃんてのは、日本人のモラルハザードを恐ろしく加速したよね。

※ http://www2.diary.ne.jp/user/122532/
【どうしたものか。客観的な視点で物申されている某作家センセイ、独自の視点で色々と納得させられる点も多いのだが、最近は、どこかしら情緒不安定なご様子。よほど「アホ」 呼ばわりしている人の本が売れているのが気に入らないのか分からないが、このご時世で、 あのヘリはダメだとか、飛び方だどうだとか、ご自身の軍事マニア度を長々とご自慢されている方が、よっぽど如何なものかと、他人事ながら心配になる。 】

 またこの人だよ。 _| ̄|○

>>どうしたものか。客観的な視点で物申されている某作家センセイ

 これは許し難い侮辱だね。「客観的」という言葉ほど私が嫌いな言葉は無いから。

>>どこかしら情緒不安定なご様子

 何を根拠に? 感情の起伏の無い人間は死んでいると思うぞ。それで糞だの鬼畜だのを連呼するのはどうかと思うが、何か虫の居所が悪いのか、何か具体的に意見の批判があるわけでもなく、かように情緒的な揶揄を喰らうんだろう。
 今回のこの人に関しては、ポイントはここなんだよね。論証が一切無い。私は勝つぁんに関して触れる時には、必ず、彼の意見のここがこう駄目なんだ、自分はこのポイントに反論があるということを必ず書くことを心がけている。それをやらなければ、意見でも何でもない。ただの下品な罵詈雑言に堕するだけだから。今回のこの人の揶揄皮肉な関しては、それは一切無いんだよね。私が書いたこれそれの問題に関して、何かの批判があるわけじゃない。ただ俺が気にくわないという感情の露悪に過ぎない。

>>「アホ」 呼ばわりしている人の本が売れているのが気に入らないのか

 良いことじゃんか? あんだけメディア露出して、あの人の本はこれまでたいして売れてなかったんだから。俺はこの人がテレビを捨てて執筆に専念できる環境が整えば良いと思っているよ。そしたら無理してテレビでデムパを飛ばさずに済む。それに、私が書いているのは小説、今の彼はエッセイ。同じ土俵にいるなんて私は思っちゃいない。
 田中康夫批判を始めた頃に、盛んに、売れている売れていないという下らん話で、私を小馬鹿にする連中が現れた。その時に、いや、俺は康夫ちゃんより実は売れているんだけど、ま、どっちにしてもそれは、何か俺の言説の正邪や正誤を判断する基準として成立するのか? と聞いたが、もちろんまともに応えられる奴は一人もいやしない。
 人間の一番嫌らしい部分ですよね。誰か直感的にビビッと気にくわない奴と出会うと、しかし一方で理路整然と批判するだけの資質も礼儀も覚悟も持ち合わせないから、感情の赴くままに書き殴って罵倒する。しかも、誰かさんの日記の影響か、この頃はその罵倒のレトリックに素人が酔うんだよね。さるさる日記って、そういう佐高信化を加速した部分て大きいですよね。でも、佐高信だって、その罵倒を成立させるための事実や批判は一応は書くわけだ。
 ここがやっぱりプロと素人の越えられない壁で、素人はただ気分に任せて、とにかくお前が嫌いなんだって、露骨な感情を暴露することが許されるけれど、プロはそうはいかないんだよね。そのプロが越えちゃならない敷居を限りなく下げて受けを取っているのが今の勝つぁんだが。

>>マニア度を長々とご自慢されている方が、よっぽど如何なものかと、

 貴方は興味無いかも知れないが、私はこれで20年喰ってきた。てか、この人は私の日記をずっと読んでいて、俺を何者だと思っていたんだろう。

 実は私は、ちょっと前に、諸々あった佐々木仏三氏の日記を楽しみに今も読んでいる。私は彼の生活圏やライフスタイルと全く接点が無いんだが、それが逆に面白くて読んでいる。彼は勝谷氏の大ファンでもあるし、そのせいなのか意見の相違もあったけれど、それは過ぎたことです。
 はっきり言うが、mizuno-amiさん、貴方の日記は、私にとって継続して読みたい衝動に駆られるものでない。率直な所、貴方の日記は、そこいらの時事系ブログの劣化コピーのレベルだから。独自な視点があるわけでもなし。貴方が私の日記をワッチして、時に真似たり、下らん揶揄皮肉を書くのはご自由だが(プロは話題にして貰ってなんぼのもんよ)、少なくともそれが読み手に説得力を持つか否かぐらいは考えなさい。
 日記は、時としてただ自分がカタルシスを得るためだけのツールであったりするけれど、しかし、万人に公開する以上、少しは読者に訴求することも考えるべきだ。それに何より、何があってのことかは知らんが、私に当たるのは止めて欲しいね。万人を説得するのは無理だから、貴方と不幸な出会いをする羽目になったのは残念なことだ。だが、論証無き罵詈雑言はただの下劣な私怨私憤の露悪に過ぎない。そこに読み手を納得させる説得力は無い。

※ メルマガおまけ 映画秘宝&酷い後悔

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コメント

えいじさん、はじめまして。

さて、件の長岡の崩落現場ですが、地震発生の翌朝に放送されたニュースで、現場上空を飛ぶ取材ヘリから信濃川に転落したトラックを映しつつ、「ここでは他に3台の車が崩落に巻き込まれているらしい」と言っていたように思います。
その後の報道では、この現場のことは触れられなかったので、もしかしたらわたしの聞き間違い、あるいは誤報かも知れませんが、ちょっと気になります。

投稿: ねたろ | 2004.10.28 20:29

はじめまして。

ハイビジョン・カメラの力は大きいですね。
民放とNHKを見比べて改めてそう思いました。また、アンマンのホテル従業員をハイビジョン・カメラで映している資金力の凄まじさも大きいですね。

投稿: さーもんさんど | 2004.10.29 01:48

 ああ、あれそうだったんだ。民放はまだそこまで行って無いんですかねぇ。

投稿: 大石 | 2004.10.29 03:21

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