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2005.02.25

フジサンケイに危機管理無し

 今日は全国的に「ダーティ・ボマー」の下刊発売日です。アマゾンコムにはまだ商品の入荷がないらしく、アフォ~を貼っても表紙が出ないんですよね。
 この物語は、テーマはでかいけれど、ぶっちゃけ、一人のサラリーマンのお話しです。アメリカ勤務になり、住み着いてしまった製薬プロパーの日本人。彼自身は、やり手のセールスマンとして、会社でも特別なポジションを与えられているのですが、核テロに巻き込まれて、本来なら、全社を率いてアメリカ社会の復興に当たらねばならない非常時に、「申し訳ないけれど、俺はこれまで家族を犠牲にして働いて来た。こういう時だけは家族と一緒にいたい」と我が儘言って、核爆発で灰燼と帰したダラスから、ダーティ・ボムに加えて核爆発にも見舞われたシカゴのマイホーム目指して独りSUVに乗って、核災害後の荒野へと出発するわけです。
 途中、産気づいた妊婦を助けたり、糖尿病で死にかけたパーク・レンジャーの女性を助けたりしつつシカゴを目指すんだが、ひょんなことから、アメリカの危機を巡る歯車の中に組み込まれて活躍すると……、そういうお話です。上刊と一緒に買って下さい。

※ CXに必要な出口戦略

 世評としては、仮処分が通るかどうか論争の余地があって、ホリエモン、ますますピンチみたいな所が主流なのでしょう。皮肉なのは、本来、ホリエモンの肩を持っても良さそうなブログの世界、ネット界がより先鋭的にホリエモンに批判的に見えることですよね。
 私は生理的にホリエモンが嫌いだし、今のフジ・サンケイ路線に視聴者読者としてそこそこ満足しているので、CXを応援するけれども、それとは別に、起こっている事象面を好き嫌い抜きで見なければならない。

 まず仮処分の申請が通るかどうかですが、いくら三権分立とはいえ、またCX側の戦略に違法性が高いとはいえ、裁判官も人の子ですから、世間は気にするし、ましてや政治の舞台でホリエモンけしからん! というムードが先行している中で、それを認めるのはかなり勇気が要る話で、これは違法性云々の埒外で判断される可能性が高いと言わざるを得ない。個人的には、フジがやってのけたことは、全くの商法違反だと思います。昨日から、あちこち、それを解説しているブログ等を読んだけれど、私個人は、これは論争の余地無く商法違反だと思っています。
 これが通るようなら、株式市場にルールは無いということを、逆にCXサイドが証明してしまうようなものです。それを司法が後押しすることになる。
 ライブドアの時間外取引は、アンフェアでインモラルではあれど、これは何処から見ても合法取引です。これまでみんなそれで企業買収を仕掛けてきた。これだけは駄目だという論理は成り立たない。そういう手法で乗っ取られる可能性があるのに、防御手段を講じなかった側の戦略ミスです。しかしCX側が取った手だては、これはインモラルでアンフェアで、かつ非合法でしょう。
 それで、仮処分申請が認められるかどうかは、担当裁判官の胸三寸で決まる話なので、別の視点から考えたいわけですが、どんなに相手がいけすかん人間であっても、筆頭株主に躍り出た当事者の意向を無視して、それを阻止排除するために増資するなんてことが許されるなら、これはマーケットに対する背信行為でしょう。CXが闘うのであれば、別な、徹底してリーガルな手法を見い出すべきだったと思う。

* 求められる出口戦略

 不思議なことに、フジ・サンケイは、中波を二つ持っているんですね。文化放送と日本放送。これ自体、メディアの寡占という部分で、好ましいことじゃない。これは、どっちか一つを手放す良いチャンスでしょう。
 フジは、今のうちに出口戦略、退路を明確にしておくべきだと思う。ニッポン放送の社員には気の毒だけど、ニッポン放送を斬り捨てて、フジ本体を守る、あわよくばポニーキャニオンなど、系列下の会社も切り離して、損失をニッポン放送に限定する退路も確保しておくべきでしょう。
 どう考えても、あんな大グループの株を独占している小さな会社(ニッポン放送)の株を、知らん間に買い占められて赤の他人が筆頭株主に名乗り出て、ひょっとしたら過半数の株も独占されるかも知れないという状況を招いてしまったのは、日枝体制下のCXの現経営陣の大失点であり汚点ですよ。たぶん今の経営陣は、余計な出費と損失を招いた罪で、株主代表訴訟を起こされるでしょう。

# 普段からあれほど危機管理だ! なんだと吠えている憂国メディアが、実は自分たちの防衛に関しては、全く無頓着だったことは滑稽極まりない。言語道断な話で、産経新聞のファンは、まずそれを怒るべきだと思う。

 他方、道徳的な問題点はあるにせよ、資本主義社会で、株を半分も奪われたら、これは負けを認めるしか無いでしょう。この状況下で何かとする、何とかなるというのは、テクニカルな部分では面白い話ではあるけれども、それ自体、資本主義のルールに反している。こうなったら、もうどうにもならないのだという警鐘のためにも、フジにも一定の傷を負わせた方が、市場の育成のためには良いのではと思う次第です。

※ ホテル代無料提供受ける 知事「業界でよくあること」 読売長野
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news007.htm
http://blog.goo.ne.jp/tuigeki/

 もともと、このニュースは追撃さんのスクープを県議会で追及したら、「踏み倒した」ことをゲロしたわけで、恥ずかしい話で、長野県の県知事が、自分の後援会の会合(それ自体怪しいもんだが)を開いて、その料金を食い逃げしたわけですね。
 いやあんたが言う業界は、ホテルやレストラン業界のことじゃなく、ヤクザ業界の話だろう。

28日 宿泊費 153,966 パークハイアット東京 東京都
28日 会食 122,430 御膳房 東京都
29日 宿泊費 393,310 パークハイアット東京 東京都
31日 宿泊費 58,195 パークハイアット東京 東京都

 それで、これですよね(~_~;)。
 これ以外にも、50万円の宿泊費とかあるわけです。あそこには、会議室も備えた、一泊確か25万円超の、コーナー・ルームがあります。30万円を越える金額は、たぶんそれでしょう。オープン時に、私も覗いたことがあるけれど、確かキャットウォークが窓沿いに走っていて、副都心を見下ろせる眺望の良いバスルームもありましたね。贅を尽くした部屋です。
 そういう部屋を取って、会議を行い、ついでにそこで寝るということをやっていたんでしょう。あるいは、一本20万円のワインを開けるとか。
 有権者の浄財で結構なものです。国会議員が聞いたらさぞかし羨ましいことでしょう。こんな浪費をする余裕があって。
選挙資金の入りと出というのは、最も透明性が担保されなければならない部分です。自分が献金したお金が、豪華ホテルでの飲み食いや、最低ランクでも一泊5万円の部屋での宿泊費に消えるとあっては、バカバカしくてやってられませんよね。
 本来なら、ポスティング用の広報誌の印刷でもやっておけば、県内にお金も落ちるし、県民の政治意識の覚醒にも貢献できるだろうに、この人は徹底して私利私欲しか無い。彼らしいと言えば、彼らしい話です。
 昔、都がホテル税を導入する時に、鳥取の片山知事が上京時に泊まる安ホテルがテレビで紹介されたことがあった。彼は、ホテル税の導入に反対でしたから、自分は1万円以下のホテルにしか泊まらないと言っていた。探せば、東京でもそういうホテルは一杯あります。

 それでこの問題ですけれど、しなやか会に寄付した人は、会計責任者宛に内容証明を送りましょう。「支出の細目を出せ。一円単位に至るまで公表しろ」と。
 どう考えても、政治資金の使い道じゃないでしょう。政治資金に纏わる法律は、「寄付」行為に関しては、厳しく定めてるわけです。汚職が絡むから。ただ、年がら年中金欠でピーピー言っている政治家が、まさかこんな形で豪遊浪費三昧することは想定していないから、支出に関しては性善説で成り立っている。
 これは支持者が怒らなきゃ駄目ですよ。少なくとも寄付した当事者たちが、徒党を組んで会計責任者を問いつめるべきだ。

※ メルマガおまけ ネットゲーム・ミュー~奇蹟の大地~

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コメント

フジテレビは、現在のニッポン放送が親会社であることが不健全な状態と判断して、株式公開買い付けを実施していたと思います。そこに、ライブドアが殴り込んできて、俺が筆頭株主だと宣言したところに問題が発生したと思うのですが。
時系列的には他の詳しい人にお任せしたのですが、以下のような流れではないのでしょうか?
 1.フジがニッポン放送の公開買い付けを宣言
 2.ライブドアが筆頭株主宣言
 3.ニッポン放送新規予約株発行を宣言
1.と2.の間にどれだけの期間があったのかが良く覚えていないのですが、流れ的にはこんな感じだったと思います。
なんとなく最近のニュースは、ライブドアの筆頭株主宣言のあとに、フジが公開買い付けを実施することを宣言したように聞こえるのですがどうでしょうか?

投稿: 北陸の読者 | 2005.02.25 12:40

1.フジがニッポン放送の公開買い付けを宣言
 の前に村上ファンドの十数パーセントの買占めがあります。
そこで慌てたフジがTOBを行ないました。

その後、どうやら村上ファンドが手を退いて
そこにライブドアが乗っかったようです。

今回の騒動がなくとも、誰かが相応の責任を取らざるを得ない事態ではありました。

投稿: さーもんさんど | 2005.02.25 13:41

ま、要するに国土&西武と同じ構図ですわな。
一族経営よる弊害と申しますか。。。
現フジの経営陣の失態と言うよりは、問題だらけの
前体制陣を追放し陣容を再構築しようとした矢先に
訳の分からん輩が夜襲を賭けて襲ってきたという構図。
その前体制に責を負わせるにも、もう居ません。
戦略としての責を問うなら筆頭は大和証券と言う事
になるのでしょうかねぇ。。まぁ任命権者としての
責となると日枝氏も逃れる事は出来ませんが、これ
は他社(大和)との連帯を含みますから難しい。
そもそも、今後大和とフジの連携がより密に複雑に
なっていかざる得ない状況で関係者の排除と言う手
は有り得ないですね。それがまた隙を生むわけで。

投稿: | 2005.02.25 15:31

ダーティ・ボマー下巻、世艦の最新号と共に購入しました。

投稿: 名無し二等空士 | 2005.02.25 19:46

今日になって企業株主がTOBに応募すると公表しだしてますけど、フジはTOBのために今回の措置に出たという話も出てきてますね。企業株主としては増資発表前の市場価格ではTOB価格に比べて高すぎる。可能性としては背任を問われるかもしれない。そこで今回の増資発表、株価の下げ。この場合、実際にTOB価格を下回る必要はない。企業株主は当然取引関係上フジに売りたいわけですから言い訳さえできればいい。さて3/7どんな数字が出るのやら・・・

投稿: | 2005.02.25 21:28

旅窓あたりで検索すれば、一万円前後のビジネスホテルは、けっこう見つかりますね。
って言うか、おいら安サラリーマンだから、安宿にしか泊まれないような出張費しか出ないんですけど…

まあ、その分の仕事の結果を出すのなら、高い宿に泊まっても問題はないと思いますけどね。

投稿: Y-MAT | 2005.02.26 00:59

私も詳しくは事情を知りませんが、製薬会社の営業マンを「プロパー」といわなくなってからかなり経ちます。今はMRと言いますが、同義の略語が多いのでSEOには向きませんね。

投稿: TXJ | 2005.02.26 12:08

プロパーというのは、メディア的にはすっかり定着しましたが、イメージはあまり良くなかったですよね。いかにも金に飽かせてという偏見がついて回っていましたから。

投稿: 大石 | 2005.02.26 23:37

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