FX次期主力戦闘機を考察する
※ 日中首脳会談今夜開催、中国側「善隣友好重視」 日経
なぜこの時期に日中首脳が会談しなければならないのか全く理解できない。それで北京が日本の常任理事国支持を表明するというのならともなく、せいぜいが小泉氏が村山談話を朗読して、日本政府から再度謝罪の言質を取って、気が向いたら、今回のデモに関して、公式に日本政府に謝罪するかも知れないという程度のことでしょう。あっちの責任なのに、全くの北京ペース。まず謝罪ありきで、某かの前進を期待できるわけじゃない。つまりこっちはまた一歩下がるわけだが、原状回復の見込みすらない。一歩下がって半歩前進するための首脳会談に一体何の意味があるのか。
こちらから行動せねばならないという強迫観念がチャイナスクールを支配している間は、動いちゃだめでしょう。
【石垣海上保安部は23日午前6時5分、海上保安庁法に基づき、出港を差し止めた】
と記事にはあるんだが、肝心の、保安庁法のどういう法令を適用したのかが書かれていない。こんなんありなのか?
※ FX次期主力戦闘機を推理する
(つい去年も、対フランカーという文脈で似たよな話を書いた記憶があるが……)
今日は週末なので、私が某誌(週プレ、実は来週発売号にもコメントあり)や、昨日ちらと書いた、FXに関して書きましょう。
候補は三つです。
1.国産
2.JSF
3.F-22ラプター
1.国産の場合。ハードルは技術的なことよりも、まず政治的なレベルになります。日本を、技術面においても縛りを掛けておきたいアメリカは、FSXの時と同じように、あれこれ難癖付けて、潰そうとするし、それが出来ないなら、また共同開発へと持ち込もうとするでしょう。日本側にも弱みはあって、スーパークルーズ能力を持つエンジンを自力開発するのは難しいだろうし、機体やステルス性能はともかく、肝心のソースコードとなると、F-2の苦い経験も蘇る。
2.JSF。盛んに、海自の空母保有計画と合わせて、この計画が俎上に乗りますが、可能性としては、私はこれが一番低いと思っています。というのは、もし海自がヘリ空母を保有してJSFを載せるにしても、それは海自の部隊です。空自の幹部百人に訊いたら、百人が、「それはうちは関知しません」と応えます。
空自に、VTOL、STOL型の空母艦載機を運用するという発想が全く無いわけです。
これは運用面から言ってもナンセンスな話で、基地運用するのに、過度のSTOL性能を持っていても仕方ない。その性能を持つために、他を犠牲しているということになりますから。マルチというのは、あれもこれもと欲張って、いろんな所にしわ寄せが来るものですよ。
もちろん将来的に、海自がいざ空母を持つしかない(中韓の空母計画次第)という時期になったら、予算面からプレッシャーを掛けて、「飛行隊を潰されたくなければ、空母部隊は空自が運用するか、部隊ごと海自に編入させよ」ということになる可能性は高いです。
もうひとつの問題として、そもそも売ってくれるのか? というのもあるけれど、商売ですから、売ってはくれるでしょう。ただ今になって開発に途中参加させろというのは無茶な話。
3.F-22ラプター。この可能性が一番高いのは、まず空自の戦闘機パイロットは、米空軍と同じオモチャを欲しがる!(~_~;)。もうこれがほとんど全ての理由。ただ現実問題として、中国空軍がどれだけ性能の良いフランカーを揃えても、ラプターの敵ではない。アメリカだって、いくら機密の塊とは言っても、商売ですから、売れる相手には売りたいでしょう。
唯一最大の懸念は、実は値段ではありません。新兵器は高くなるに決まっているんですから。それを嘆いても仕方ない。
むしろ問題は、どんなに日米関係が良好であろうとも、フル・スペックで売って貰える可能性は、まず無いだろうということです。
空自はその点、イーグルを買った時に、もの凄く不愉快な経験があって、あれ売らない、これ売らない、これ売っても良いけどブラックボックスだからね……、と散々不愉快な思いを強いられた。これがちょっとトラウマになっていて、それはFSXでも引きずったし、今も、空自の現場とラプターの話になると、「でもあのままの性能じゃ売ってくれませんよね」という憤怒混じり怨嗟まじりの溜息が漏れる。
ただ現実問題として、米空軍が、同盟先進国に売れる、もう少し安くて性能の良いステルス戦闘機を開発する意志が無いのであれば、他に選択肢は無い。
4.ここで実は、私はもう一つ問題が出てくるだろうと思っています。対北朝鮮絡みで、空自の戦闘能力が語られる時に、メディアでも国会でも、「え? イーグル戦闘機って、主力戦闘機なのに、対地も対艦任務も出来ないの? 相手の戦闘機相手にミサイル撃つだけ?」という話になる。
これは、国民にしてみれば、疑問をもたれるのは致し方ない部分は確かにありますよね。ハイローミックスとか、開発時の軍事情勢や運用状況を説いても仕方ない。今、空自は、一機あたり40億も掛かるイーグル戦闘機の近代化改修(それってF-16が買えるぞ。しかも別に対地攻撃能力を向上させるものではない)に取り組んでいますけど、これも金が無いから、たぶん全機に対して改修が終わるのは、FXの最終号機が納入完了される頃じゃないかと思ったりするわけですが。当然その頃には、その近代化改修計画が、単なる機体寿命延長計画みたいな時代後れなものになっていることでしょう。
主力戦闘機のマルチ・パーポス化で空自が避けたいのは、いざF-2と同じことが出来るとなったら、それ新鋭機を二種類も運用する必要は無いでしょう?(F-2中止の代替が入ったら3機種4機種ということになる) 一機種に絞って、配備機数を減らしなさい、という話が必ず出てくる。それを避けるという意味合いからも、JSFの空自採用は無いな、と私は思っています。
5 日本空軍整備の柱
ではわれわれは今後どういう柱を立てれば良いのか? 金額を考えると、当然イーグルと1対1でラプターを入れるのは無理でしょう。がそれにしても、安く購入して、しかも空自が、これは絶対に削って欲しくないというスペックを残したまま購入しなければならない。そのためには、本命ラプターという形で、交渉手段、フェイントとしての「自主開発路線」を掲げておくことです。
いざ選定という段階になった時に、米側があれこれ難癖付けてきたら、「あ、そうですか。じゃあまあ、われわれも研究に入っていることだし、国産機ということでそちらも了解して貰えますね?」と開き直れば良い。
無論、その研究開発費もバカにならないんだけど、それで買い叩けるラプターの単価を考えると、最終的には安上がりにつくだろうし、技術も身に付くでしょう。
多分にこの問題は、相変わらず日米外交上の政治的なマターだということです。
※ 花粉症継続中
金曜。20時前に寝て、0時前起きる。土曜、8時頃寝たんだが、鼻づまりで酷い目に遭う。まだ薬は飲んでいたので油断しました。私の場合、花粉症を悪化させる最大要因は、睡眠不足です。もうてきめんに来ますね。
* ココログをアップデートしようとしたらやたらサーバーの反応が鈍い。おまけに「混雑メッセージ」が出て更新すら出来ない。閲覧ならともかく、契約者の更新にすらサーバーが耐えられるキャパを持っていないってどういうことよ?
連休に入ったら皆さん、ぜひメルマガを契約しましょう!(^_-)/。たぶん連休中にダウンしたら、復旧は一日懸かりですよ。
※ メルマガおまけ メール遅延
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コメント
総論、なるほど、という感じです。
ちょっとディテールにつきまして、
> 1.国産の場合。
> 肝心のソースコードとなると、F-2の苦い経験も蘇る。
これは大石さんの認識違いだと思います。
米国議会がゴネてフライトコントロールシステムのソースコードの開示がなされなかった。そこで、日本が当初計画予算からプラスアルファのお金をかけて独自に開発し、結果として問題は無かった。
YF-22Aやグリペンのように機体を失うこともなかったし、タイフーンのようにいつまでたっても飛行領域が制限されたまま、ということもなかった。
金銭的にはともかく、技術的に苦い思いはしていません。
次だって問題なく作れます。
> 2.JSF。
JSFは、米空軍F-16後継のCTOL型もありますが、これについてはどうなんでしょう? STOVL型/艦載型との共用化部分に引きずられてCTOL型もイマイチ、という評価でしょうか?
投稿: 名無しにさせてください | 2005.04.23 17:10
うちの会社のノートパソ、本日全てダウン。
ウイルスバスターがウイルスメーカーになりました。
平日だったらトレンドマイクロの明日は無くなっていたと思いますよ。
投稿: | 2005.04.23 19:17
中国在住の日本人が中国のサーバーを使って抗日デモなどを報じていたら当局に封鎖された例があるのですね。
現在はgooブログで新たに再開しているようです。
こことは直接の関係があるわけではありませんが、深センのエボラ出血熱の噂についてググッテいたらぶち当たりましたので、ご紹介だけしておきます。
http://blog.goo.ne.jp/wowow_turk/e/
679f9efb805e538c242ac7802fc75c54
投稿: ハマの住人 | 2005.04.23 20:12
>FX次期主力戦闘機
先生の仰る様に、ラプター導入出来るかは日米の政治マタ-ですね。今期防の最終年度で、F-4後継機を6機と導入数が決まってる様ですので、今年~来年中頃までに何等かの動きがないと、F/A-22導入厳しいでしょうね。
導入できたとして、ラ国・ノックダウンも厳しいでしょうから完成品って事になりそうですね。オールブラックボックスの様な機体、IRAN等どうなるんでしょう。F-86Dや海自のMH-53みたいにならなければ良いのですが・・・
中韓の空母計画ですが、韓国が計画中といわれる空母、年が経つごとに漏れ伝わってくる排水量がドンドン(三万五千トン?)増えていきますね
投稿: 名無し二等空士 | 2005.04.23 20:50
本文に関してちょっと質問です
> もちろん将来的に、海自がいざ空母を持つしかない(中韓の空母計画次第)という時期になったら、予算面からプレッシャーを掛けて、「飛行隊を潰されたくなければ、空母部隊は空自が運用するか、部隊ごと海自に編入させよ」ということになる可能性は高いです。
これって空自が海自の予算にプレッシャーをかける&空自の部隊を海自に編入する、と読んでいいんでしょうか?(・・
投稿: | 2005.04.24 01:05
>F/A-22
幕の連中の恋焦がれ方は陸のAH-64Dに対するもの以上でしょう。特にPの方からしてみれば双発であることとスーパークルーズは自分の生存率向上(SARエリアの狭小化)に繋がるから余計に肩入れしたくなる。
ただですね、既に述べられているように日本でラ国、KD生産しても特にステルス性に関して言えば一桁二桁劣るものしかできない。日本には特にファスナーを用いない接合構造とか異種材料の接着などのような機体製造技術が無いかもしくはまだレベルが低いんです。これは先進技術実証機(ATD-X)でも問題になっていて、一部のものはアメリカさんから買わざるを得ないんです。日本がこの技術を会得するには少なくても5年10年は掛かる。
以上の状況から得られる選択肢は低稼働率(全機輸入のMH-53Eの稼働率は50%程度)を我慢して目だし(某空幕長談)として完成品輸入のF/A-22を買うか、F-15近代化のペースを速めつつF-2改良型(F-2はエンジン換装等も比較的容易な配慮が為されている)を投入しATD-Xの開発を進める等が考えられるでしょう。まぁうちらの業界としては後者希望ですけどね。
投稿: keenedge | 2005.04.24 01:18
>>保安庁法のどういう法令
おそらく海上保安庁法第18条「強制的措置」ではないでしょうか。
条文には「海上保安官は海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合又は天災事変、海難、工作物の損壊、危険物の爆発等危険な事態がある場合であって、人の生命もしくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害が及ぶ恐れがあり、かつ急を要するときは、他の法令に定めのあるもののほか、次に掲げる措置を講ずることができる。
一 船舶の進行を開始させ、停止させ、又はその出発を差し止めること。
二 航路を変更させ、又は船舶を指定する場所に移動させること
(以下略)」とあります。
投稿: 名無し三等兵@海保スレ | 2005.04.24 12:59
大石はん、Mac mini買いましょう。5万5千円です。キーボードとマウスはPC用を流用できます。Linuxよりは、アプリそろってますよ。
バックアップ用の機材だと思えばいいです。PCとMacの二本立てで使えばいい。
アーキテクチャが違うから、同じネットにつないでいても、同時にシステムダウンすることはありません。
投稿: 井上 | 2005.04.24 23:42
>>Mac mini買
ああ、こういう思想は良いですねぇ。どうしてWINDOWSでこういう発想が出ないんでしょうね。
投稿: 大石 | 2005.04.25 12:24
>どうしてWINDOWSでこういう発想が出ないんでしょうね。
Mac miniよりは大き目ですが、IBMが似たようなものを出しています。
http://www-6.ibm.com/jp/pc/desktop/tcs50us/tcs50usa.shtml
http://www-605.ibm.com/webapp/wcs/stores/servlet/PromotionDisplay?promoId=8734766&storeId=392&catalogId=-392&langId=-10
投稿: gwaihir | 2005.04.25 15:59
ウィニーに感染するウィルスを巡り、諸機関で色々と情報漏えいが問題になっていますが、これが、F-4EJ改の後継機選定に影響を及ぼす可能性はどの位のものなのでしょうか?F-22Aの場合、完成品を輸入する事になるでしょうが、情報セキュリティーの甘い(無い)、日本に売って貰えるものでしょうか?影響があれば、F/A-18E/F辺りになってしまうのではと思うのですが。
投稿: R1 | 2006.03.13 13:35