すみません。日記の配信が遅くなりまして。どうしても日垣先生の件を今日中に片づけたくて。
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□今週のコメント
◆本日ライブドア堀江社長逮捕 この事件で被害者はいたのか
◆集団ヒステリーの顛末は
◆検察の手先に成り下がる者たちよ
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これが、↑月曜逮捕を受けての配信記事の主要です。
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★本日ライブドア堀江社長逮捕 誰が被害者だったのか★━━━━━━━━★
マスコミ大手を買収しようとしたことが、同じマスコミの住人としてよほど許しがたかったのか、新聞やテレビでは常軌を逸したライブドア叩きが続いています。
いや、それはむしろ穿(うが)ちすぎで、ただ単に「ドブに落ちた有名人は徹底的にいたぶる」というサガなのでしょうか。それまでは、出演してもらうだけで、あるいはインタヴューに応じてもらえるだけで大ハシャギしていたくせにね。
よく考えてみてください。今回の容疑は、起訴されても執行猶予がつくことがほぼ確実な「懲役5年以下」の経済事件です。だから許される、などと言っているのではありません。罪刑法定主義に基づき厳正に裁かれるべきであって、その前に検察とマスコミによる報道で株価を暴落せしめ、若い企業を潰してしまってもいい、というふうにはならないと指摘しているだけです。
憲法に例外が明記された罪状(例えば納税の義務違反)以外、近代国家の刑法犯には必ず被害者がいます。賭博や売春に被害者がいない、とのご意見もあろうかと思いますが、おっしゃるとおりです。日本と韓国と北朝鮮と中国とキューバと中東諸国を除く、ほとんどの国家では、賭博や売春を禁じていません。
被害者がいなくても、秩序を乱したのだから葬ってよい、という発想は治安維持法の思考回路です。お上(かみ)に逆らった者は斬り捨て御免、という発想を当のお上がするのならある意味やむをえないのですが、それに乗じて付和雷同の集団ヒステリーをおこしている人々には憐憫の情を禁じえません。
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上記項目は全文引用、私の記事向けに改行位置だけ変更しました。
まず、先週に引き続き、執行猶予論です。今回は短く。
第1に、すでに報道では囁かれていますが、今回の事件、実は実刑の確率が高いのではないか? という見方が出ていて、若干微妙な所ではあれど、ホリエモンが今後も否認を続けるようなら、反省の色ナシで、実刑を喰らう可能性は高いでしょう。自供して反省の態度を示しても、事件の重大性を考えると、裁判官の心証次第では実刑の可能性は高い。つまり、これまでは全部執行猶予だったからという論法が通用しない。
ですから、日垣先生の、「執行猶予がつくことはほぼ確実」という断定は、経済犯罪を眺めている人々にとっては、大いに疑問符が付くことでしょう。
第2に、これは普段の日垣隆氏の論法、主張に真っ向矛盾するのでは? と感じているのですが、彼はこれまで、少年犯罪、触法精神病患者、あるいは普通の刑事犯に関しても、その刑罰が余りに軽いことを一貫して非難して来た。なぜこんな奴らがとっとと娑婆に出てくるんだと、日本の刑罰の軽さを批判し、嘲笑してきた。本のタイトルにまで持ってきたりした。
その彼が、今回、そこは一切目を瞑り、こんなに刑も軽い、執行猶予が付くような犯罪は、あたかも犯罪では無いかのように主張しているのは全く解せない。ここで問うべきは、こんな大犯罪なのに、どうして執行猶予が付くのか? ですよ。最近アメリカで同様の犯罪を犯して、20年の実刑を喰らった奴がいるとテレビで言ってましたが。
更に言えば、たとえば道路交通法に纏わる法規は、まず罰金刑で済むわけです。近代司法の元では、そもそも科料を超える刑罰自体が少ないんですよ。そのこと自体は不思議ではない。でも駐車違反だって、警察の出頭命令を無視し続ければ逮捕されるわけです。それは私たちの社会を、一定のルールの下にコスト&ベネフィットで維持するための必要な仕組みでもある。
いや、執行猶予の可能性が高い犯罪は、一律在宅起訴に留めるべきだ、という主張なら納得出来なくもないけれど。
第3に、被害者論。この犯罪に被害者はいるのか? これはまともに取り合うのもあまりに滑稽な物言いだけど、一応真面目に書いておきましょう。「被害者はいないじゃないか?」なんてのは、犯罪者の戯れ言ですよ。
被害者はいる。今回の騒動で、持っていたライブドアの株券が紙屑になった人々です。いやま、それは資本主義社会ではいつでも起こりうることだし、オウンリスクだし、そもそも検察が動かなければ、この破滅的な出来事も無かっただろうから、それは被害者じゃないとも言えるでしょう。
商法は何のために存在するか? 言ってみれば、オリンピックに於けるドーピングのようなものでしょう。ドーピングで誰かがぶっちぎりで優勝した時に、果たして被害者はいるのか? 詰まる所、商法は、資本主義社会に於いて、一定のルールの下に、公平にチャンスを与え、公平に競争しましょう、という最低限のルールを定めている。その意味で言えば、被害者は、彼と同じ土俵でビジネスを競っていたライバル他社であり、われわれ国民全体です。被害者はいる。
第4に、ここで奇妙に思うのは、今週の週刊エコノミストの敢闘言のコラムです。2ちゃんの日垣スレに報告があるけれど、いつもにも増して、コラム自体は実に悪文で書かれている。彼はそこで、努力を美徳として捉え、競争社会に身を置くことのモラルを説いている(んだろうと思う)。
競争社会は、少なくとも法律面に於いて、皆がそれを遵守することで成り立っているわけです。それが「競争」の大前提。ホリエモンはそれに唾して自分だけ抜け出ようとした。これはもう、敢闘言のコラムに従うなら、全く唾棄すべき行為なのに、日垣氏にはそれが解っていないらしい。
第5に、検察と報道が今回の株価の暴落を招いた。でそれは検察と報道の責任だみたいに書いてらっしゃいますが、これは全くの濡れ衣ですよ。これはライブドアという会社が、その事件に耐えられるだけの体力を持っていなかったというだけのことであって、これは経営陣の責任であり、そういう危うい会社の株を買った投資家の個人責任です。たとえば、武器輸出事件で揺れるヤマハ。当然今、株は下がっているんでしょう。けれど、それが紙屑になるまで下がるかと言えば、そんなことは無いでしょう。それなりの体力を持っているから。こういう時に、若い企業もへったくれもありますかいな。そういう若い企業にリスクは付き物で、投資家は覚悟の上なんだから。
これは、株主が迷惑するから不正は見逃せ、と言っているに等しい。
★集団ヒステリーの顛末★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
《関係者によると、株売却益を資産ではなく売り上げに計上していた疑いがあるという》。これで、タイトルはでかでか《ライブドア22億円粉飾か》(1月22日各紙)。04年10月の企業買収は《事実上、ライブドアと投資ファンドが一体となっていたものと東京地検特捜部では見ている》(翌日の新聞各紙)。
こうした記事を垂れ流してきた人たちは、自分がいったい何を書いているのかわかっていないのでしょう。これは重大ニュースだっ! 大変だっ! と無前提に思い込んでいるだけなのだと思います。経済部にちょっとでも相談すればいいものを、社会部(報道部)だけでやってしまうから、検察がリークする(情報をわざと漏らす)情報を鵜呑みにして垂れ流すだけ。お気の毒です。
このようなこと(売却益を売り上げに計上してしまうことや、投資ファンドと一体化して動くこと)は、東証が取引を一時停止したり、上場企業が株を分割したり(実際あの見せしめとしての家宅捜索当日にも20分割していた他の上場企業がありました)と同様、ありふれた出来事です。
良いことだ、と言っているのではありません。単に東証的日常だ、と言っているだけです。このたびのライブドア潰しは、「やりすぎ」への「見せしめ」という当局判断以外の何物でもありません。
本日夕方のニュースは「ライブドア堀江社長、事情聴取」で、おそらくすぐ「逮捕」となるでしょう【追記 逮捕されたそうです】。
もう一度、冷静に考えていただきたい。
検察は、もちろん世論に迎合的です。世論に迎合してしか生きていく道はない。それはそうでしょう。しかし、日本の検察は異常です。世界で最も権力を肥大させた機関だ、と言ってもいい。
捜査機関(日本では警察だけでなく検察も含む)が動くと、容疑者は一巻の終わりです。他の国なら逮捕されたくらいでは平気ですが、日本では「推定無罪」の原則が働きません。
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ここも全文引用。先週のスカパー、パックインでも、元帥が果たしてこの図式で検察は行けるのか? むしろインサイダー取引に近いのではないのか? と指摘して、同席した永沢弁護士に逐一反論を喰らっていました。ただし永沢弁護士も、インサイダー取引の構図に近いということは指摘していた。
検察がこの図式で行くかどうかは解らない。何処でもやっている、というのはその通りでしょう。誰でもやっているから許されるのか? スピード違反はみんなやっているけれど、たまたま見つかった奴が不運で、それを摘発する警察が悪なのか? 私は全く同意しません。大勢のドライバーは、「自分は免許証を汚したくないからスピード違反はしない」と答えるでしょう。万引きはどうですか? 誰でもやっている? うちの息子や娘はしない、という親が圧倒的でしょう。
誰でもやっている=摘発は検察ファッショだ、なんていうのは、暴論とも言えない。極めて粗雑で下卑た意見であって、社会を破壊する発想です。文明社会で暮らすわれわれが越えてはならない一線です。
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★検察の手先に成り下がる者たちを憐れむ★━━━━━━━━━━━━━━★
その強権さは、私だけの思い込みではなく、現役の検察官ですら(他国の制度と比較する知恵をもっている検察官なら)誰でも気づいていることです。
《世界一強い検察。〔中略〕現行制度下では、検察に対する外部からのチェッ
クは事実上ほとんど働かず、これは重要な欠点である〔中略〕。
その後アジ研〔国連アジア極東犯罪防止研修所〕に行き、ことにイギリス法
系の研修生から皮肉混じりによく言われたものである。
「検察官が裁判官と同じ基準で起訴にスクリーニングをかけるのだとしたら、
裁判所は要らないではないか」
その度に答えに窮した。自身、その通りだと思っていたからである。》(佐
々木知子『日本の司法文化』文春新書。佐々木氏は元東京地検検事室長検事、現在は参議院議員)
日本の検察は、起訴権限を100%独占しているだけでなく(多くの国々では
警察や被害者や遺族も起訴できます)、捜査権限までもっています。
警察の暴走に対しては、日本ではかろうじてマスコミや検察がチェックをか
けられますが、検察の暴走をチェックできるところは、存在しません(検察審
査会については『偽善系』に詳しく書きました)。
その大切な役割を、昨今のマスコミは担おうとせず、リーク情報の「いただ
きます」合戦に終始するばかりです。
痴漢冤罪を通じて比較的よく知られるようになったとおり、日本ではいった
ん被疑者が逮捕勾留されると、「容疑を認めれば保釈してやるが、否認すれば接見禁止が公判終了まで続く」と脅されます。
検察は、次席検事を通じてクラブ所属記者に毎日エサを与えて完全にコントロールする習慣を禁欲し、「どのような容疑で強制捜査や逮捕に踏み切ったのか」を国民に堂々と直接説明すべきであり、本当に必要なら(事前に連絡して大勢のマスコミ陣を引き連れたり裏で情報を操作したりせず)粛々と起訴すべきでしょう。
マスコミが揃いも揃って検察の手先に成り下がるのは実に醜悪です。
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ここも全文引用。ほら日垣先生のメルマガを購読したくなったでしょう(~_~;)。いや、良いことも(偶には)書いてらっしゃるんですよ。検察は各メディアを区別して情報をリークしているんですよ。朝日にはこの情報、読売にはこの情報……、という具合に。今日も「宮内はもう落ちた!」という記事がヘッドラインを飾っている。嫌らしいやり方ですよ。こういうことを書くのであれば、その記者は少なくとも、宮内容疑者の弁護士とコンタクトして、宮内は弁護士に対しては本当はどう話しているのか? をきちんと確認してから書くべくです。
過去、多くの冤罪事件で繰り返されたことは、弁護士は一生懸命、無実を訴えているのに、新聞は一顧だにせず、警察のリーク情報を垂れ流して、逮捕者が真犯人であるという印象操作に積極加担して来た。そんな反省はマスゴミには全く無いわけだ。ここは私は日垣先生の主張に同意しますよ。ただそこは、具体的に指摘しなゃ駄目よ。ただ検察の手先に成り下がっているだけじゃ。どういう紙面がそれを窺わせて、本来はどう動くべきかを指摘しないとジャーナリストとして失格です。それが出来ない、日垣隆という人物を私は憐れみます。
私が日垣先生なら、小菅の存在そのものを批判しますよ。昨日から、体験者として鈴木宗男議員が積極的に答えていますけれど、彼は400日を越える日数を拘置所で過ごしたんですよね。極めて非人道的な待遇で、あそこに一度入ったら、休日なく、年間365日、朝昼夜と取調を受けて「自供」を迫られる。容疑者に対してこんなに非人道的な扱いをする国は、たぶん日本以外無いですよ。ロシア他の司法後進国だって、逮捕の後は人不足で放置ですからね。検事に毎日締め上げられるなんてことはまず無い。
検察ファッショを批判するのは結構なことだし、マスコミがそれに協力するのも決して誉められたことじゃない。でもそれを、ホリエモンの犯罪を擁護する論法に絡めちゃ駄目でしょう。それやるんだったら、徹底的に推定無罪に拘るしかないけれど、こういうケースではそれもちょっとナンセンス。
しかし、日垣先生は、ライブドアの株に注ぎ込んでしまったんだろうか。敢闘言は、なんかそんな諦めと自滅感が漂っているんだが……。
※ 愛知・豊川の幼児殺害事件の被告に無罪判決 名古屋地裁
http://www.asahi.com/national/update/0124/NGY200601240005.html
【また、留置場で同房だった男に「本当はやった」と犯行を認めていたことを明らかにするとともに】
過去の冤罪事件の多くで、「同房だった人物が……」というケースが山程ある。これが出てきたら、それだけで冤罪だと断定して良い。
この事件、テレビの前に現れた被告は、いかにも気の悪そうな感じでしたよね。対して被害者のドキュンパパは、みんなが期待した通りのドキュンな格好で現れた。
これは何処で捜査を間違ったかというと、事件の認知の瞬間から、警察は、このドキュン親の犯行を疑うわけですね。もちろん、こういうケースでは、親が犯人というのが多いですから、それ自体は、全く捜査の常道だったわけだけれど、軌道修正するのが遅すぎたんですよね。それで貴重な時間を失い、犯人にたどり着く手がかりを失う羽目になった。
ただ、検察は控訴するんでしょう。警察だって今更、真犯人を捜します、なんて言えるはずもなく、検察も面目を保てないから、ここは高裁判断に賭けるしか無い。全く不毛なことです。
※ 堀江容疑者が社長辞任 新社長に弥生の平松氏
http://www.sankei.co.jp/news/060124/kei073.htm
とんだ茶番ですよね。ホリエモンの意志が解らないから取締役には残るということなんだが、何のために弁護士が接見するんだ? それに、熊谷史人って、今小菅にいる連中のパシリ役で、いつ逮捕状が出てもおかしくないの男なのに、それが代表取締役なんて酷い茶番劇。でも平松氏は、マスコミ受けが良いんですよね。
※ 押収ヘリ、性能を分析 韓国などにも不正輸出か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060124-00000086-kyodo-soci
これはもの凄く悪質な確信犯ですよね。たぶんこの事業部門はもう廃止でしょう。その前進の会社はプロXのテーマにまでなったのに。最悪の場合、ヤマハ本体に累が及ぶ可能性がある。
※ 「危険性は交通事故より低い」 BSEで米いらだち
http://www.asahi.com/life/update/0125/001.html
ブッシュの非常識な発言というのもあって、あっちは根っからのアホやし、有権者相手のリップサービスだから、聞こえなかったことにしてやっても良いけど、この物言いは酷いですわな。
結局、まったくのダブルスタンダードで、日本向けのしっかりやりますよ、という態度の裏では、農業団体相手に強くは出られないから、検査官に衆知徹底することも無かったんですよね……。
※ 少子化対策が奏功?フランスで人口36万人増加
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060124i315.htm
本当か? それ。実は増えたのは移民の子供だけでしたって、オチじゃなかろうか。
※ 露、英スパイ摘発 敵対的NGOに警告?
http://www.sankei.co.jp/news/060125/kok033.htm
もうMI6ったら、007の見過ぎ。今時、eメールを暗号化してやりとりすりゃいいだけの話だろうに。
うーん、今夜番組前に居間でハイビジョンが映るようにしなきゃな。やっぱりアンテナを外に出すしか無いかなぁ……。
※ メルマガおまけ ビデオサロン
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