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2008.06.24

マネーの暴走

※ 新刊告知「北方領土奪還作戦 4」中央公論新社刊

 首都圏は本日発売。全国的には明日発売となります。さあいよいよ、ロシア軍の無慈悲な反撃が始まります。

※ 「マネーの暴走が止まらない~サブプライムから原油へ~」
   ▽世界を不安に陥れたサブプライム問題。危機はどこま... NHKスペシャル

 サブ・プライム・ローンの仕組みとか、この金融工学のメカニズムの前には、どんな高尚なモラルも勝ち目は無いですよね。
 以前航空工学の分野で、飛行機を墜さないことを研究していた数学者が金融リスクの専門家になって「いや空気の流れを読むのと一緒だよ」と嘯いて「審査無し収入の確認無し」のサブ・プライム・ローンを編み出して、しかもそれを真っ当なローンに混ぜてAAAの評価を付けて売りまくっていた。
 最後には、地銀や地域のローン業者に、ウォール街から、パンピーにうちのローンを売ってくれたら報奨金をいくら出すよ、と力関係が逆転してしまう。日本の土地バブルと全く同じ経過を辿る。

 でもサブ・プライム・ローンを野放しにした最大の責任は、グリーンスパンにあるんだよね。あの人の千里眼でこの状況が読めなかったとは思えない。
 もちろん私は何度も繰り返すように、低所得者に住宅ローンを組ませるというのは政策として全く正しいことなんですよ。ただその担保を住宅価格の永続的な上昇に求めたことに破綻するメカニズムを最初から組み込んでしまった。言ってみれば、画期的な遺伝子組み換え作物に、収穫時期を間違えると将来確実に枯れる要素を組み込んでしまったようなものですよ。

 それで、アメリカ経済は今後どうなるかというと、やっぱり駄目駄目な感じですね。 _| ̄|○ 。サブ・プライムに流れ込んでいたマネーは、そっくり原油市場に投入されているんだけど、「新興国の需要が増えて今後もますます値上がりします」とか投資家を騙しているわけね。
 所が原油価格は一年前の2倍になったわけですが、実需は今年1パーセント増えていないだろうと言われている。それどころかこの値上げで消費が減る可能性すらある。需要が増えるだろうと言われる中国インドにしても、原油高は直撃する。一方で、新たな油田開発は、需要を上回って開発が進みますから、これはもう実質今でもすでに原油市場は完全なバブルに陥っているんですよね。これもいつかは弾ける。問題はそれがいつで、天井がどこまで行った時か?
 ただひょっとしたら、サブ・プライムの時には、原油市場という格好の逃げ場、マネーの受け皿があったからサブ・プライムは弾けたけれど、じゃあ原油の次に何かあるのか? といえば、穀物市場も飽和状態で、しかも原油と違って不安定。原油市場を代替しうる巨大マーケットが無いと、なかなかこれも弾けられないんですよね。次はタンポポだ! みたいな、チューリップ相場を彷彿とさせるような脱力するニュースもあるんですが(でもやっている連中は大まじめらしいから笑えない)。

* 問題は、消費の最大の牽引役であった住宅着工というモンスター級のエンジンを失ったアメリカで、逆に全ての製品価格を押し上げる原油へとマネーが流れ込んでいる。これはアメリカ社会を二重苦三重苦が見舞っているということですから、アメリカ経済が浮揚する要素は現状では皆無ですよね。
 問題はそのアメリカ経済に寄り掛かっている世界経済、とりわけ日本経済を維持するために、何をすべきか? という部分で、日本の政治は無策であるという現実。

※ 企業の景気予測さらに落ち込み、景況判断指数は過去最悪
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080623-OYT1T00561.htm?from=top
※ 比フェリー転覆事故、28人が150キロ北の海岸に漂着
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000018-yom-int
※ 大阪駅切りつけ事件、神戸の38歳女を傷害容疑で逮捕へ
http://www.asahi.com/national/update/0623/OSK200806230114.html
*体形ガッチリ…大阪駅通り魔、不審女性に“男”説
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_06/t2008062326_all.html
※ シーアンカーでも防げず 遠くの波影響?千葉沖漁船事故
http://www.asahi.com/national/update/0623/TKY200806230269.html
※ マツダ 世界初の水素エンジンのハイブリッド車公開
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000013-maip-bus_all
※ これでBlu-rayは不要?従来のDVDに9倍のデータを記録する技術が登場
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080623_tohoku_dvd/
※ 前日の空虚重量70.0キロ

  散歩無し。本日タイマー更新。

※ メルマガ有料版おまけ サブミッションポート & すうどんでっせ

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コメント

>「プリンセス・オブ・ザ・スターズ」(2万3824トン)

日本でもフェリーを追っかけている人がいました・・

http://homepage2.nifty.com./honsyuutetudou/Princess_Of_The_Stars.htm

投稿: プレーリードック | 2008.06.24 10:21

他国ながら船会社がバカなのか?行政がバカなのか?
おそらく、その両方なんだろうけど、同じことの繰り返しに呆れる。

Wikipediaより
1993年3月「さんふらわあ さつま」(2代目)就航に伴い引退。海外へ売船され、Sulpicio Lines(フィリピン)の「PRINCESS OF THE ORIENT」としてマニラ-セブ島を結んでいたが1998年9月19日、台風7号の嵐の中を航行中に沈没し、死者51名、行方不明者216名を出す大惨事となった。直接の沈没原因は荷崩れであったが、フィリピンでの大幅なデッキ増設工事により船体が
不安定になっていたとも云われる。

投稿: デコイ | 2008.06.24 11:22

これでBlu-rayは不要?従来のDVDに9倍のデータを記録する技術が登場

不安なメディアだからこそVHSもβもMDもMOもPDも殻をつけておりDVD-RAMやBlu-rayも当初、殻を付けていたのに、それを剥いだ規格にしちまうから信頼性が劇落ちする。CDもDVD-ROMも殻つきメディアにしてれば保存性ははるかに高いものになったでしょうね。

投稿: | 2008.06.24 13:11

>>国際金融マネーの行方
そんなに使い道がないなら、いっそ宇宙開発にでも投資すればいいのにとも思うんですけどね。
まぁ、掛かる資金規模を考えると、失敗した場合、国が傾くどころか転覆しかねませんけど。
その辺のリスクヘッジのスキームが描けるかどうかだなぁ。

投稿: 義忠 | 2008.06.24 13:22

EU・イギリス経済も危なそうだし、日本のアメリカ依存も減少している。
日本の株式市場が比較的安定しているのも、そのせいでしょう。

投稿: | 2008.06.24 14:01

>>※ これでBlu-rayは不要?従来のDVDに9倍のデータを記録する技術が登場

これって、DVDドライブの制御ソフトの書き換えで済むという話なんでしょうか?
どう考えても新しい制御回路と光学系のドライブが必要になるし、誤り訂正技術についても記録密度を上げた分精度も上げる手段を考えないといけなくなるのでは…
これがDVDへの映像記録方式をBlu-rayと同じ規格(MPEG4 AVC)にするだけならば未だ逃げ道があるのですが、物理層まで変えたらあんまし意味がないような。
アドバンテージがあるとするとドライブ作るときに高価で歩留まりがけしていいとは言えない青色半導体レーザーではなくて今までの安価な赤色帯域の半導体レーザーが使える程度なんじゃ…結局マルチドライブが作られておしまいなんじゃ。

投稿: 業界インサイダー@分割してみた | 2008.06.24 15:59

>>投稿 | 2008.06.24 13:11 さん

メディアの耐久性で殻付きかどうかというのも重要ではありますが、記録型DVD(±R)の耐久性の悪さは記録情報を保持しているのが有機化合物な事とメディアにガラスではなくポリマー系の樹脂を使っているので気密性や内側の安定性が保たれないことに由来しているようですよ。

市販のDVDやCDで予想した以上に寿命が長いのが少なくないのは情報を直接焼き付けてあるアルミ層の酸化が予測よりも遅い事に由来していて、結局は保存環境とディスクを形成しているポリカーボネートの接合部の気密性が良好な場合だと考えるのが一番妥当っぽそうですからね。

±Rの場合には有機化合物と言う本来は非常に不安定な物に情報を覚えさせていますので、それだけ気密性などのディスクの品質の影響が激しいということで。

実際、殻のないDVD-RAMなんかだと多くが媒体素材にガラス系の素材を使っているので非常に長く情報が持っているようです(ただし、書き換えが効くといっても単層で一枚あたり500円程度(高めのDVD-Rの7,8倍の価格)してしまいますが

投稿: 業界インサイダー@分割してみた | 2008.06.24 16:10

どうでもいいことかもですが、昨日から?メルマガでここのブログのリンク張り忘れてねぇすか、センセ?

広告スペースの話題を昨日書いてらっしゃいましたが、メルマガから直で見にいけなかった。


投稿: | 2008.06.24 16:24

>新刊告知「北方領土奪還作戦 4」中央公論新社刊
 首都圏は本日発売

兵庫県の神戸だけど、今日すでに並んでましたよw
もちろん買いましたよ~。

投稿: | 2008.06.24 16:57

>※ シーアンカーでも防げず 遠くの波影響?千葉沖漁船事故
事故に遭われた方にはお気の毒ですが、「シーアンカーでも」どころではなく、北風と南風が衝突するところに留まろうと判断がやはり誤っていたと思います。
海況の悪いときの三角波や突発性の横波があるとシーアンカーがあるときには船を回して正対するのも難しくなります。
まったくお気の毒な事故です。

投稿: | 2008.06.24 17:30

>いっそ宇宙開発にでも投資すればいいのにとも思うんですけどね。
バブルマネーは、倍々ゲームで利潤を得られる所にしか入り込みません。
宇宙開発に入り込むには、月、火星の土地を売ることができなければなりません。

投稿: | 2008.06.24 17:42

 原油バブルは供給側要因ではじける可能性はありますが、需要側要因ではじける可能性は低いのではないかと感じています。

 バブルの最後はいつもババ抜きゲームです。高値の原油を抱え込んで、売り抜けられなかった人が出たら、オシマイ。

 ご指摘のように、消費減退や増産によって実需以上の将来在庫を買い支えることが始まったら、先が見えたと言うべきでしょう。

 また、物価についてのフリードマン仮説は信用創出と時間によるもたつきをあまり配慮しないモデルですが、やはり長期的には成立するようです。原油のように多くの産業で共通して消費される財については、その高騰が物価の大半に対して強烈なフィードバックを起こすことが予想できます。崩壊は派手に行くだろうと思います。

投稿: rijin | 2008.06.24 18:36

ちなみにグリーンスパンは在任中に何度も住宅市場のバブル化に警鐘を鳴らしています。
グリーンスパンのメッセージがアメリカ経済の失速に繋がらなければいいが、と書いたコラムニストは何人もいます。

投稿:   | 2008.06.24 20:07

グリーンスパン氏が、2005年春に、フロスが発生している(泡の前兆)と発言したのは有名ですね。

アメリカ駐在の目にもその時点ですでに大バブル化しておりましたが。中国株と資源特に原油、そして食糧にバブルマネーが逃げているわけですが、そろそろ逃げ場が無くなってきました。

投稿: | 2008.06.24 21:02

ここのコメント欄はいつも勉強になります。

>>ちなみにグリーンスパンは在任中に何度も住宅市場の
>>バブル化に警鐘を鳴らしています。

>>グリーンスパン氏が、2005年春に、フロスが発生している
>>(泡の前兆)と発言したのは有名ですね。

なるほど、バブルの真っ只中にいる最中はバブルだなんて
思わないものなんですね。
で、後になって人のせいにするという・・・

投稿: 勝谷ファン | 2008.06.25 00:48

>>国際金融マネーの行方
>そんなに使い道がないなら、いっそ宇宙開発にでも投資すればいいのにとも思うんですけどね。

完全に同意。まったく無駄・無意味なCO2排出削減なんて偽エコ活動にリソース使うぐらいだったら、衛星軌道や月表面で作られた○○は効果が云々……とかのデマをでっち上げて、宇宙開発煽ればいいのにw
まぁ、マスゴミや投機屋なんて低脳だから、宇宙関連の技術なんてまったく理解できないから無理か?

投稿: | 2008.06.25 12:46

投機資金はずっと未来の金より明日の金を求めます。
宇宙開発どころか、油田開発、工場建設にも向いません。

それが泡銭です。

投稿: | 2008.06.25 14:48

>いっそ宇宙開発にでも投資すればいいのにとも思うんですけどね。

軌道エレベーター建設なんてどうかな?
建設に伴う波及効果を考えると
軌道エレベーター用地買収&管理会社
軌道エレベーター建設企業体
軌道エレベーターメンテナンス会社
軌道エレベーターで地上と宇宙を上下する鉄道会社
(民間鉄道会社に路線を貸すとか)
軌道上の軌道エレベーター運営会社。
 ここまで出来たら月開発のコストが安くなるので
軌道エレベーターステーションから月まで宇宙船を
飛ばす各エアライン。

ケインズ経済的な大規模な公共設備投資として有望かもw

投稿: | 2008.06.26 12:53

訂正)
軌道上の軌道エレベーター運営会社。
       ↓
軌道上の宇宙空港運営会社。   

投稿: | 2008.06.26 12:55

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