絆から再生へ
昨日の朝日新聞の朝刊「リスク社会を生きる-放射能が列島を分断する」という新連載のプロローグが掲載されていました。私は、そのタイトルを読んだ瞬間「放射脳で列島を分断せよ!」と脳内変換してしまったわけですがw。プロローグ自体は、わりとまともな内容だったような印象です。週刊AERAの煽り文句とは違って。
今年は辛い一年でした。原発周辺の住民は未だに戻れず、被災地の復興はまだまだ遠い話です。しかしそれだけの大災害にも拘わらず、日本経済は回っています。公務員の給料が3割カットされるでなく、自殺者が急増したという話も聞かない。震災倒産も、恐らくは、当初懸念されたほどではなかったことでしょう。
そして年明けからは、いよいよ復興需要が景気指数に反映されるだろうと期待もされています。洪水のような報道から一歩下がって見ると、私たちは、起こってしまった災難による経済リスクをミニマムなレベルに留め置くことに成功している。
それはなぜか、日本人の我慢強さももちろんあるでしょう。大きく効いているのは、政府の財政支出です。本来、30兆程度で済ませなければならない予算を、100兆以上もの金額で組んでいる。その付けは国債として膨らんでいく。
その財政支出の中でも、社会保障の膨らみが凄まじい。毎年1兆円増えます。私は以前から、世代間戦争を仕掛けよ! と訴えて来て、書き始めた頃は、自分でもちょっと過激だな、とは思ったけれど、最近やっとネットの中では市民権を得つつある。新聞も、控え目ながらも、「世代間格差」という表現をするようになった。
しかし一方で、後の世代に付けを回しているのは、年寄りだけじゃありません。ありとあらゆる業界が、政府の庇護下にあり、既得権益を貪っている。サービス業とて例外ではない。それら既得権益がもたらす稼ぎで暮らしているという意味から言えば、この国に、自分はそれらと無縁だと言い切れる人間は恐らくいない。形骸化しているにも関わらず、出版業界にも再販制がある。輸出業界ですらが、円高を是正せよ、と政府に文句を言ってくる。それが出来ないことは解り切った話なのに。
今年は、多くの神話が暴かれた一年でもありました。原発の安全神話が暴かれ、堤防が気休めに過ぎなかったことが暴かれた。改革幻想が暴かれたけれど、処方箋は何処にも無い。
日本の原発はデタラメだったということが暴かれたけれど、これにも即効的な処方箋は無い。日本の財政が酷いデタラメに陥っていることを国民は皆知っているけれど、幸いまだメルトダウンに陥っていないから、われわれは今日もそれをせっせと燃やして運転している。メルトダウンなしに、それを冷温停止まで持って行けるのか。
しかし、明るい面もあります。日本人は、そこに問題があると理解したら、解決へ向けて知恵を出す民族です。原発は、世論の冷温停止が達成されれば、その方向へ向かうでしょう。自然災害もそうです。犠牲を払いつつも、われわれは立ち向かってきた。最後に残るのは、政治です。民主党政治が失敗したことは明白です。所が一方で、自民党政治にさえ戻れば、全ては解決するかのような幻想を未だに抱く人々がいる。すでに空だき状態の日本の財政が溶け始める前に、政治を建て直す必要がある。
※ 生活保護受給者囲い込みの病院「彼らは上客」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111231-OYT1T00140.htm?from=main2
*生活保護者、公費負担で高頻度通院…厚労省調査
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111231-OYT1T00024.htm
年末に国民を鬱にさせてくれるようなニュース。厚労省も嫌らしいのは、ニュース枯れする31日まで取って置くんですね。記者さんに耳打ちして。
生活保護で良い暮らしをしたければやっぱり大阪です罠。こういう状況を変えないと、本当にそれを必要としている人々がサービスを受けられなくなるから。ふと思ったんだけど、肉体的な苦痛を伴う検査を強いてみたらどうだろう。「じゃあ念のため、たまには腰椎穿刺してみましょうか?」とか。「あと、新しい規則で、通院二回毎に採血して諸々検査することになりましたからぁ」。金が掛からず、患者に肉体的苦痛をもたらす検査って何か無いだろうか。
※ ユーロ、一時99円40銭台 NY市場
http://www.asahi.com/business/update/1231/TKY201112310069.html
*NYダウ、前年末比640ドル高で終了
http://www.asahi.com/business/update/1231/TKY201112310068.html
NYダウは、通年に均して見ると、リーマンショック以降、戻してはいるんですね。リーマンショック前の高値まで復活しないだけで。そこは日本の株価と比較すると、遙かに良い兆しと言える。
問題は、中国経済が支えられるかどうかにしても、ユーロ経済が鍵です。ユーロが持つかどうか。ドイツ人が動くかどうか。
イタリア経済は、日本から見ると、ギリシャ経済とたいして違いは見えないかも知れないけれど、実は日本より遙かに健全だった。国債にしても、6割は国内で消化されていた。にも関わらず、今の状況を招いてしまった。日本も、財政問題を軟着陸させる過程で、中国が日本の国債を大量保有するチャンスも出て来て、国内での消化率は徐々に落ちていくことでしょう。国内消化率が低下する過程で、市場から何かを仕掛けられる可能性はある。
※ 陸山会事件(下) 「事件は妄想だ!」 報告書の“作文”に「証拠隠し」… 検事から爆弾証言で新局面
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111231/trl11123107000001-n1.htm
まともな司法制度を持つ欧米なら、これはとっくに公訴棄却になっています。所が日本の、検察偏重の司法制度の下では、事務的に糊塗しようがないミスを除いては、検察の意図的な作為不作為によって公訴棄却になることはまず無い。日本の裁判は、まずサラリーマン判事が検察のご機嫌を取ってナンボですから。
それに、石川さんらの一審判決を見ても、そう期待できるものではない。
※ 「読まずに死ねるか!」内藤陳さん死去
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20111230-OYT1T00609.htm
私が初めてお酒の美味さを知ったのは深夜プラスワンででした。冒険作家クラブでも長いことお世話になり、度々お顔を出して頂きました。また会の終わりのパーティでも、体調を押して駆けつけて頂きました。
気さくな方でしたが、私にとっては、とても隣りに座って気楽に酒を飲めるような相手ではなく、陳さんとはいつも畏まってお話していたような記憶があります。ご冥福をお祈りします。
最近、デビュー前後にお世話になった方々の訃報に接する機会が多くて、自分ももうそんな歳になったんだなぁ、と思う日々です。
↓その他の話題はメ-ルマガジソにて
※ 2012年終末からの脱出、「ノアの箱舟」券が中国のネットショップで大好評販売中
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52057966.html
※ 防衛研 新たな戦史を編さん
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111230/t10014990801000.html
※ 【NewsBrief】F15戦闘機を米国がサウジアラビアに売却へ
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_368081?mod=WSJ3items
※ 楽天で販売されているパソコン型インテリア(張りぼて)を激安PCと間違い全て完売 返品を訴える声も
http://getnews.jp/archives/160344
※ 村西とおるの反原発活動観 山本太郎に「反モチ運動」を提案
http://www.news-postseven.com/archives/20111230_77880.html
※ 今年の海外ドラマを振り返る。
※ フカシ先生
※ 前日の空虚重量71.3キロ
金曜? 昼前からかりかりして年賀状印刷。日本人の悪癖orz。何かこれを止める適当な理由がないものだろうか。同時に、忘年会に持参するパリのDVDを焼く。
18時直前、れいによって手書き文面一切ないまま郵便局に持参して投函。それから次男をだまくらかして南武線。空いている。まずラゾーナに向かう。電飾があると期待するも何もなし。がっかり。
ペットショップでポポンデッタ・フルカタなる熱帯魚を購入して東口に。数年ぶりにコミケ流れの宴会会場に向かう。ドアを開けた途端、「うわ!? みんな、まんま老けている(^_^;)」状態。コミケの平均年齢て今どうなんだろう。次男、マスターから結構な出来映えの食玩オモチャを貰う。ディスクを渡し、ビール一杯頂戴して帰路に。ノクティのキラリデッキはまだ電飾きらきら、ラゾーナなんかより遙かに派手。
帰宅してから、CXの震災特集の予約録画に失敗したことに気付く。前半しか録れてなかった。結構辛い番組だったらしいことを後で知る。
※ 来年は、絆から再生の年にしたいものです。今日は私が年に一度だけ、制服集団に感謝の意を表する日です。
菅政権が自衛隊の10万人出動を命じた時、自衛隊のことが解っていない、無理だという批判がありました。私にそれに対して、これは総力戦である、と書きました。自衛隊はその総力戦を見事にやってのけました。
恐らくこの後、自衛隊の中で、震災前、震災後というフレーズが使われることでしょう。「あの戦争を共に体験したか?」が一つのメルクマールになる。
遺体を拾い集めた隊員の経験を国民が知ることは今後も無いでしょう。恐らく多くの隊員がPTSDに陥っているはずです。これを機会に、PTSD対策やそのカウンセリング導入が進むことを望みます。
われわれが平和を願う時、それは主に戦争からの平和を意味します。来年からは新たに、自然災害からの平和も願うことになる。でも国民の思考の片隅には、もし何処かで何かが起こっても、陸や空や海から、救いの手を差し伸べてくれる頼もしい集団がいてくれると刻まれたことでしょう。
自衛隊は今後、そのややもすると過度な期待にも応えなければならない。原発事故時の放水任務のように。今宵、離島のレーダーサイトで歩哨に立つ兵士に感謝します。東シナ海で中国漁船の見張りに立つ巡視船の乗組員にも。駅前交番に立つお巡りさんに。入院病棟の夜勤で正月を迎える看護師さんに。そして今年、休む暇もなく、被災者のために奮闘した自治体の職員の皆様に、国民の一人として感謝を申し上げます。
今年もお世話になりました。皆様、良い新年をお迎え下さい。例年通り、メルマガ&ブログの再開は、3日からになります。
※ 有料版おまけ 現代のビッグブラザー、Google の世界支配に抗う術もないわれわれに関して。
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