※ 「富士山が見える低山詳細ルートガイド」
https://www.amazon.co.jp/dp/4777947920/
2017年10月4日水曜日登山。今回の愛鷹山登山を思い立った切っ掛けは、今書店店頭にある富士山が見える低山ハイキングのムック本を買ったことが動機です。「愛鷹」と書いて、「あしたか」と読みます。
そこに掲載されていた写真が綺麗だったので、登って見たいなと思いました。ただ最初は、同じく掲載されている沼津アルプスにしようかと迷いました。御殿場の方が沼津よりノクチに近くて富士山も大きく見えるので、愛鷹山に決めました。
しかし、前夜急に思い立ったので、雑誌の該当ページをカラーコピーしたり、スポーツドリンクの購入に、夜のスーパーにと走りました。
※ 天気に関して
木曜でも良かったのだけど、木曜の予報はもう雨になっている。辛うじて水曜だけ午後から晴れマークが出ていたので、この日しかチャンスはないなと思いました。
所が! 朝5時に起きたら、雨ですよ! しかも沼津方面は晴れマークだけど、御殿場はもう曇りになっている。たかが半日先の天気予報すら当てられない気象庁とかスパコンとか何なの?
しかも準備万端整えてマンションを出たら、明らかに傘が要るほど降っている。我慢してそのまま駅まで歩きました。
午前5時50分ノクチ発下りの南武線に乗り、登戸乗り換え、更に新松田戸で降りて、ちょっと歩いて御殿場線松田戸駅乗り換え。御殿場線て、電子マネーのICカードは使えないんだけど、あの路線て原則としてPASMOやSuicaではなく、もう中京エリアのICカードなのね。TOICA? 驚いたことに、2両連結の車内は暖房が入っていた。
ここまで来ると、目立つ人々が乗っていますね。革靴に地味なスーツ。おそろいのブリーフケースに短髪。あ、特殊公務員だ!w。
7時58分御殿場着。基本的に、自衛隊のバスでしかここには来たことはない。8時半のバスに乗るために、案内で切符を買ったら、こちらの説明が拙くて、愛鷹登山口までの切符が出て来て、終点まで乗るなら降車時に足して下さいと言われる。でも路線バスはICカードが使えた。外は雨orz。
※ 所で、山登りする人間にとってはデフォなお話ですが、バス停で「登山道入り口」とあっても、実際にはそこは入り口では無かったりします。「○×山登山」と言いつつ、実際に登る山は、「○×山」では無かったりします。この愛鷹山もそういう山です。
まず、山自体は、いわゆる愛鷹山系であって、愛鷹山(1187メートル)というのは、いくつかあるピークの一つに過ぎず、そこは高度が低いことから、登山者が実際に目指す山は、山系で一番高い越前岳(1504メートル)ということになります(実はこの山系のすぐ南側に、もう一つ「愛鷹山」という山があって、非常にややこしい)。
この山系は、西側が急峻で、東側がなだらかな作りで、バス停の愛鷹登山口は、その東側にあります。ここから登るのは、角度は緩やかだけど、時間が掛かるので、実はほとんど利用されることはありません。皆、そこより標高が高くて越前岳に近い、西からのアプローチ入り口になる十里木線終点の「十里木」を目指します。
バスはずっと雨。なぜかキャリーバッグを抱えた若者が何人も乗っていたんだけど、あれは何処に行く人々だったんだろう。
市街地を抜けると、途中、見事な草原の中を走って行く。右を向いても左を向いても、360度、一面のススキの平原! 所が、その草原の中を変な道が走っているw。細くて、くねくねして、どうも一般道には見えない。したら「自衛隊演習地」の看板が出てくる。別にフェンスとかはないんです。帰宅してから地図を見たら、東富士演習場の端っこを突っ切っていたらしい。
そこが終わって上りに入ると、今度は別荘地になる。あそこは良い! だってバス路線がある別荘地なんて最高じゃないですか。それも駅からほんの2、30分ですよ。
途中サファリパークに寄り、もちろん終点まで乗っているのは私一人。親切な運転手さんが、「ここから700メートルくらい車道を歩いた所が、登山道入り口ですから」と教えてくれる。
雨は小降りというか、霧雨状態。
※ 十里木高原展望台
(クマ警報が出ていたなんて聞いてないよ~! 写真をチェックしていて初めて気付いた)
登山道入り口になる展望台の駐車場に着くと、立派なトイレもあって綺麗に整備されている。山おばさんが二人いて、奇妙なことに、一人が洗い場で靴を洗っている。変だな。もう降りて来たとは思えないけれど……、と思ったら、これから登るために、前回登山時の泥を落としている! これはヤバイぞ。ベテランだ……、どこかで追い抜いて貰わなきゃと思いつつ、電波塔を目指して綺麗な木道を登り始める。登攀開始は、カメラによると9時20分。したら下から山おばさんが登って来る。案の定健脚で、凄いプレッシャーw。
展望台に着いても、もちろん富士山なんて欠片も見えない!orz。目の前のゴルフ場が見えるだけ。この辺りはまだ余裕で、電波も入るので、ポケモンしながら登る。登る高さは、登山開始地点がすでに800メートルを超えているので、「黒岳」の分を足しても1000メートル前後。普段登っている高尾山の城山の倍くらいだから、決して楽では無いけれど、デイハイキングの縦走で稼ぐ高さとしてはまだまだ低い方。
山おばさんに距離を詰められながら歩いていると、地図にない電波塔と出くわす。あれ? 電波塔はさっき過ぎたよな……。と思ったら、フェンスの向こうに、ダークな色のトラックが停まっている。
おお! これが噂に聞く、ISDN速度を出せるとかいう超高速の防衛マイクロ回線の電波塔か!(こんな金食い虫、いったいつまで維持し続けるんだろう)。しかし車がここまで来ているということは、車道がここまで来ているっていことだよな……、と思って、帰宅してからGoogle earthでチェックしたら、しっかりと自衛隊専用道がここまで来ている。
この辺りで、高度はまだ1050メートル。ここで山おばさん二人に先に行って貰う。しばらくは長閑でなだらかな樹林帯が続いて、天気が良かったら駿河湾とか見えるのかしらん状態。
馬の背展望台を過ぎたら、登りが急になり、iPhoneも仕舞う。霧雨が続いて、ザックが濡れ始める。途中何度か、ポンチョを着るべきかどうか迷ったけれど、ポンチョを着ると暑くなりそうだし、ザックの出し入れも面倒なので、最後までポンチョは着なかった。
けれど、幹を掴み、ブッシュマンハットが枝を揺らす度に頭上から水滴がドバッ! と落ちてくる。
途中、雷が鳴ってびびる! いくら天気が悪いと言っても、雷が鳴るような天気じゃないけどなぁ……、と思って登り続けたら、数十分後、また雷鳴が轟く。そこでやっと、野砲の発砲音だと気付く。下山するまでずっと鳴り続けていたけれど、全く散発的なのね。数十分置きに一発。トータルで3、40発は聞いたような気がする(意外に野砲も撃っているじゃん)。お昼時は止んだけれど、その代わり、昼時はずっと鉄砲の単発射撃の音が響いていた。アサルトなのか機関銃なのかは解らなかったけれど。
ちとあれじゃ、この辺りの別荘で静かに暮らすのは辛いな。
登りの角度は、だいたい予想した通りで、急ではあるししんどいけれど、危険はない。天気が良ければ、小学校高学年の子供とかアスレチック感覚で登って行くかも。
越前岳頂上着は11時18分。この天気で2時間で登ったのは悪く無い。頂上にはさっきの山おばさんと、もう一チーム。後に若いカップルさんも登って来る。恐らく全員マイカー。視界は無しorz。どっちを向いても下界は何も見えず。
山おばさんから「どちらまで?」と尋ねられたので、「東へ抜けて登山道口まで」と応えたら、凄く気の毒な視線で見られた。
(晴れていれば、たぶんこの先に駿河湾が見える。自撮り、画面の左下奥に担いでいたザックが微かに写っている)
休憩はなし。一応ベンチはあるけれど、霧雨のせいで濡れているので腰は下ろせない。立ったままプロテイン・バーを囓る。それが道中唯一の食事だった。ちなみに持参した水は、アクエリアス1.5リットルをハイドレーション・パックに。別途アクエリアスのビタミンバージョンの500ミリ・ペットボトルを一本。基本的に水場は無し。食料は、山羊羹にカロリーメイトなど、遭難3日くらいのサバイバルを想定。
他の皆さんは、頂上を少し降りた富士見台まで行ってから引き返す予定だったらしいけれど、この天気に諦めてそのまま下山する様子。正直、私も一瞬迷った。最終的に、ここから登山口まで、標準コースタイムで、4時間近く掛かる。この天気では、一人歩きになる。すれ違うハイカーが一人いるかどうか。引き返した方が安全ではあるし、たぶん天候は回復しない。しかし、自分の今の装備と経験値ならなんとかなるだろうと出発する。ノー・エスケープ・ルート。
ちなみに、南へ下って位牌岳を経て沼津側に出るルートもあるんだけど、今回は富士山を拝むのが目的だったので、そちら側のルートは一切検討せず。
東側ルート。これが酷かった _| ̄|○ 。下る一方なので、体力はさして要らないけれど、何しろこの天気。登山ルートとして、時々、U字型の溝に出くわすわけです(山用語で何とか言うはずだけど)。クレバスみたいな構造になっている。雨が降る度に、水流が長い時間を掛けて掘った水道です。幅は1メートル前後、深さは腰上。雨が降ったら、そこを水が流れ落ちる。この日は霧雨なので、水は流れていないけれど、基本粘土層なので、雨が降ろうが降るまいが、滑る! それを一本ステッキで支えながら慎重に歩く。二本ステッキも持参していたけれど、結局一度も出さなかった。あまりに深いところは、そこを降りずに両サイドを巻いて歩く。本道を見失わないよう注意しつつ。
一本ステッキの石突きを外したかったけれど、すでに泥だらけで汚いので、最後まで被せたまま降りたのは失敗だった。登り始めで外しておくべきだった。
濃密なジャングル・キャノピーで、一瞬たりとて空は見えない。とにかく、幹を掴む度に頭から水が降って来て、ブッシュマンハットの縁からは絶えず水滴が滴り落ちている状況。それでも薄いパーカーのせいでシャツは濡れなかったし、ズボンも、腰周りは濡れなかったし、裾下は泥だらけだったけれど、靴の中も最後まで濡れずに、足は快適でした。ただザックは、中まで湿っていた。
視界が得られない灌木地帯を、延々1時間以上下り続ける。
しかし、何より気が滅入るのは、視程50メートルの霧では無く、この山系に今、自分一人しかいないという重い孤独感。絶望的なまでの孤独感が襲ってくるorz。
また黒岳への登りがしんどかった。富士見峠から、ほんの百数十メートル上げるだけなんだけど、もう杉の斜面を、根っこを掴みながらほぼ垂直登攀した後に、なだらかな斜面になって、所が、この緩斜面というのは、山ではとんだくせものなのね。滅多に人が来ない山だと、緩斜面では登山ルートが消えるんです。縦横に歩けるから、地面が固まる暇が無い。
しかも霧で視界が得られない。本来なら見えるはずのピークが見えない。なんとなく右手が下がっている、左手が上がっているから、こっちがピークかな? という感じで歩くしかない。
挙げ句に、杉の根っこを掴んで垂直登攀している最中に、姿勢がきついものだから、左足の太ももが攣ってきて、それがすぐ右足に移って辛かった。
黒岳頂上(1086メートル)は13時20分着。なんと標準コース・タイムより20分も遅れている。それほどしんどかった。
そこから下り始めたら、左足の膝がついに痛み始める。しかも緩斜面で、下りしかないから、ルートが解らなくなるorz。まじで、サイリウム50本くらい持参して投げておくんだったと思った。
足下も暗くて、杉林の中で、時々シュミラクラ現象に襲われ始める。枯れ木が人に見えて来る。たまたま、草が生えていない、フラットな地面、でも泥が溜まってブーツが沈み込む場所で、もちろんそこには自分の足跡しかない。つい20分前歩いた自分の足跡しかないはずなのに、他人の足跡がある! とパニックになりかけたりする。
富士見峠にはポケジムがあって、赤いギャラドスを置いたら、未だに帰って来ないorz。あんな寂しいところに気の毒なことをしてしまった。
*
※ 危機一髪
ここからの下りは地獄だった _| ̄|○ 。自分の山歩きの中でも最低最悪の経験になった! 私は山の天気では最近ついて無くて、箱根に登ったら、みぞれが降り始めて頂上に達したらブリザード。立山に行ったらブリザードw。最近、そんなのばっかだけど、水曜は酷かった。
雨は上がったんだけど、相変わらず霧が濃い。しかもなぜかまだ昼だというのにやたらと暗い。あれ霧が出ると山の中って、真っ暗になるのね。でも後で気付いたけれど、まだお昼過ぎであるにも関わらずに暗かったのは、霧のせいだけではなく、山の北斜面をずっと下っていたんです。つまり太陽はもう稜線の向こうに傾いている。ジャングル・キャノピーと霧と、稜線向こうに没した太陽という3条件が重なり、やたらと暗い。そんな中をバスの時刻を気にしながら下っている。
(下っていたら突然右手に現れた避難小屋。この柵は何のためだろう? 動物避けだろうか)
富士見峠からほんの7分下った所で、右手に建物が見えて来た。不思議なことに柵まである。看板があって、「避難小屋」と書いてある。避難小屋がルート上にあることは知っていたから、ああこんな所にあったんだ。でもなんで柵なんかあるんだろうと思いつつ、まっすぐ降り始めた。酷いルートだなと気にしながら。
それなりの幅があったガレ場の登山道が、いつの間に急な涸れ沢になっている。角度も結構きつい。見事に苔むした岩を伝いながら、ひたすら慎重に降りて行く。これはでも登るのは大変だよな……、と思いつつ。
(降りてしまった涸れ沢の途中で前後を撮影。たぶん前が谷側で、あとが山側を写したもの。これを撮った時点では、自分がコースアウトしている自覚はまだない)
ところが、目の前に突然崖が現れた。高さというか深さは4、5メートルはありそうで、ちょっと降りられない。幸い右手に拓けた場所があって、地面も固い(たぶん、大勢が道迷いして固めた結果w)。ああここがルートだろうとそっちへ巻いたら、ほんの10メートルも行かずに壁になった。左側はやっぱり崖。そこで立ち往生する羽目になった。酷く焦ったのを覚えています。
降りられないことは無かった。細巻きロープも持参している。自分一人くらいなら支えられる。けれど、もしここを降りてしまったら、たぶん戻れない。ここを登るのは無理。ここに戻るために、ルートファインデイングに最悪1時間はロスするだろう。足場を作りつつ崖を直登するにも1時間は掛かる。
幸い、最終のバスまでは、まだ4時間はある。日没を考えると実動可能時間はまだ3時間もあるけど、でも何かが変だ……。こんな所が登山道であるはずはない。頭の中であらん限りの警報が鳴り始める。
避難小屋までいったん戻るべきか? 戻るべきだろうけれど、にしても、もう上を見上げても小屋は見えないほど下ってしまった。
この時、私の頭の中では、本来のルートは実はあの柵を開いて、避難小屋の脇を抜けていく所にルートがあったのではなかろうか? と考えていた。
もう、インクラウドの状況下、ろくな航法援助設備もない滑走路に降りて行くパイロットの気分です。
とにかく、どんなにきつくても危険でも、一度避難小屋まで戻るしかない。命懸けで降りて来た涸れ沢をまた登り始めた。意外に楽でした。足場を確保し、ステッキで自重を支えて上半身を上げて、下りの1/3の時間で避難小屋まで戻った。そこで、唖然としました。
なんと、登山道を示す道標がちゃんと目の前に立っている! ただし、その道標は、自分が降りて来た側からは気づけない。登山道は、下って来ると右手南側にある避難小屋とは反対の左手北側に切ってあった。
しかも、その登山道とやらは、見事に景色に溶け込んでいる。そこにあると言われても、ただの斜面があるだけ。近づいて見てやっと、ああなんとなく登山道だと解る程度。この暗さでの判別はまず不可能。典型的な道迷いの要素を満たしている。
山から下りてくると、まず右手の避難小屋が目に入るわけです。そこで、ああこれが避難小屋なんだ。覗いちゃ拙いよなw。腐乱死体とかあったりしたら怖いし。実際、写真で解るように本当に怖い状況でした。シャレにならんほど怖かった。
それで、避難小屋を確認して、拓けている正面へと下ってしまうわけです。左手を見ても、ただ暗く落ち込む壁が視界に入るだけ。自分の背中にあった道標には気づきようがない。
分岐点では必ず立ち止まって360度警戒。バッフルクリアで確認するという大原則を怠ったせいです。
(参考図)
山での遭難事故の9割は単独行で起こり、その9割は下山時の道迷いで発生します。体力を消耗して集中力を欠き、明度が落ち、バスの時刻が気になってミスにミスを重ねてしまい、どうも迷ったらしいと気付いた時には、もう引き返せない所まで進んでしまっている。
私はこのミスに関して、今も毎夜、トラウマで寝付きが良くありません。寸前の所で命拾いしました。
ほっとしながら下り続けたけれど、杉林が更に暗くなる。一度だけ滑りました。階段状の石の上で滑って、本来ならザックがクッションになるんだけど、階段状だったせいで、腰をもろに打った。
ヘッドランプはもちろん持っていました。予備のバッテリーも、別途マグライトも。何度も、ヘッドランプを装着すべきか否か迷ったけれど、まだ昼の2時です。暗いことは暗いんだけど、ヘッドランプは万能ではないんですね。今は暗いとは言え、自然光で地面を観察できる。色の違いで、石と地面、濡れているか否かも判別できるけれど、ヘッドランプを点けると、それが困難になる。さらに困るのは、今は夜目状態で、周囲の景色も見えている。そのせいで辛うじて、あってないような登山道も見失うことなく歩けている。足下が明るくなるのは良いけれど、夜目を喪失して登山道をロストする危険は侵せない。それで結局、最後までヘッドランプは使いませんでした。
ただ、眼を酷使したせいで、帰りの電車の中では、涙ぼろぼろでした。
道中、人間どころか、小動物の類いも一切、気配すら感じなかった。
(降りた所の東側登山道入り口周辺)
山を下りて舗装道路に出たのが14時半。もちろんここまで、誰一人すれ違わず。この日、このコースを逆走して登った人間は一人もいなかったはずです。
その後、舗装道路を一キロバス停まで歩いたけれど、車一台すれ違わなかった。15時14分のバスで御殿場へ。しかしあの登山口バス停にはベンチくらい欲しいですね。
御殿場駅(靴の洗い場とかどこかにあったのか?)で、泥だらけのまま駅のそば屋に入って山菜そば。やっとまともな食事にありつきました。
どこかで富士山は見えたのか? 全然orz。御殿場駅に着いた時に、あっちだろうかこっちだろうか? と探したけれど、雲に覆われて富士山は考えたのより全く方角違いだった。
でも、行き方は解ったので、その内またリベンジします。ちなみに天候は、御殿場のライブカムの情報を確認した限りでは、翌木曜朝ちょっと晴れて富士山が拝めただけで、木曜日中もずっと曇ったままでした。
※ 人はなぜ単独行するのか?
基本的に、人が居ない山に単独行で向かうのは、単なる修行です。苦痛でしかないし危険です。百名山でもないと、景色も全くないし登山道は未整備だし。
逆に高尾山なんて、どんなに奥深く分け入っても人だらけです。危険な場所も無い。あそこは私にとって、単純に、体力を鍛えて筋力を維持するためだけの安全な観光地です。
天候が悪くても登ってしまうのは、装備に自信があり、かつその装備の性能を確かめたいからです。
ある種のクライマーズ・ハイには違いありません。登山は山との戦いだけど、単独行は、純然たる自分との戦いです。山の高さや難易度なんて関係ナシ。越前岳のピークからの3時間は、極限の精神状態にありました。エスケープ・ルートはない。携帯の電波も通じない。明日になっても、ここを登って来る物好きはいないだろう。怪我をしても助けは呼べないという状況下で、天候も足場も最悪。常にビバークの恐怖がよぎる。圧倒的な自然の驚異とプレッシャーと戦いながら1歩進む毎に、思考をリセットして状況把握して前進する。延々とその繰り返しです。我ながら、60歳前の所帯持ちがすべきことじゃないと思います。
私は軍人ではないので、軍人の真似事はできません。ただ、たとえば前作で、オアフ島で中国軍が夜中にトレッキングルートを走破する場面を描きました。自分の中で、これは可能だろうか? という問いが常にある。サバイバルに関しては常にそういう思いを持っています。虫を食うのはご免ですがw。
時々、無性に自分を追い込みたくなる。持っている装備を語るだけでなく、使って見たくなる。もちろん、この歳になったら、それは本来、眺めて過ごすだけに留めるべきですw。読まずにどや顔で蘊蓄を語るべきです。こんな歳になって、自分の限界に挑みたくなるのは困ったものです。
(帰りの小田急車内にて撮影した泥だらけの足)
正直、こんな経験は二度とご免ですorz。シャレにならないほど恐ろしかった。体力的にきつかったというのは、別にどうってことはありません。いずれそれは記憶の彼方に消えて行く。でも、「恐ろしかった」。ひょっとしたら遭難していたかも知れない、というトラウマは、なかなか消えないものです。
歩きながらずっと、「ガーミンが欲しい、ガーミンが欲しい。ソロをやるならガーミンくらい持つべきだ……」と呟いていました。持った所で、見る暇なんてないから、コースアウトはしちゃうんですけどね。
*所で、今回意外に重宝したのが、登山用の革手袋。いつもは軍手で済ますのだけど、尾瀬用に買った奴が出て来たので持参したら、もちろん早い段階で濡れたんだけど、最後まで快適だった。ああいう過酷な天気にでもならないと、使うギアの本当の快適さは実感出来ない。
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